『舟唄』 八代亜紀 哀愁の歌謡曲 昭和のCD全10巻 2-14

映画「駅 STATION」と舟唄

 

高倉健主演の映画「駅 STATION」のワンシーンにこの曲が挿入されたのは有名らしいです

そこでもう一度、この映画を観ることにしました

2時間11分後…

 

警察官・「英次」(高倉健)と、小さな居酒屋を営む「桐子」(倍賞千恵子)

若き健さんとロングヘアーの倍賞さんがとても新鮮で、画面にひきつけられます

同じ孤独の影を背負った二人は、静かに酒を酌み交わします

 

お酒はぬるめの 燗がいい

「私大好き」

桐子は、ぽつりとつぶやきます

 

この始まりの歌詞と「浜圭介」先生のこの旋律

「私も大好き」です

 

暮れも押しつまった30日、小さなテレビからは「八代亜紀」さんの『舟唄』が流れます

お目当てのシーンが訪れます

スタートから1時間16分35秒

時間のたつのも忘れるほどに引き込まれていました

 

『舟唄』検索時のウィキペディアでは、この映画の中で紅白の映像が使われているとのこと

12月30日?・・・

 

そんな細かい疑問よりも、物語の秀逸さと時代描写の懐かしさに釘付けです

初代「トヨタ・カローラ」・古きデザインの「ジョージア缶コーヒー」・「コイケヤポップコーン」・・・

私にとって、懐かしグッツが映るだけでもう名作です

 

「高倉健」さんの意外な一面もこの役で披露されています

無邪気ないたずらをしたり、ウィットに富んだお笑いもこなしていました

 

二度目の『舟唄』

 

そして楽しい時はあっという間に流れ、早くも1時間30分40秒

舞台は北海道・留萌(るもい)

翌日の大みそかの夜、桐子に誘われ店に再度訪れた英次

 

テレビから『ジュリーがライバル』(石野真子)が流れる中、楽しそうに酒を酌み交わす二人です

大トリ前の『おまえとふたり』(五木ひろし)をBGMに、桐子からの質問は答えにくいものばかり(歌詞は、これからの二人の幸せな未来を予感させます)

 

いよいよ大トリ『舟唄』が流れ始めます(この歌が二度使われていたとは驚きです、ウィキは正しかったです)

 

「君はどうして国に帰らないんだ?」

英次のこの質問には答えず、少し間をおいて桐子は言います

「いいなぁ、この歌」

桐子は『舟唄』に登場するシブい男に、英次を重ねていたのかもしれません

 

生放送の紅白中継に合わせた撮影だったので、二人のやり取りはアドリブだったようです

 

店には飾りが ないがいい

2番の歌詞にかぶせるよう、映画では過去の思い出がフラッシュバックのように流れます

 

意気投合してついに結ばれた二人… 翌朝、桐子は英次に尋ねます

「ねぇ私、大っきな声ださなかった?」

「いゃ…」英次は、ぼそっと伏し目がちに答えます

 

「前にそんなこと言われたことがあるから…」「はずかし!」(桐子はそっと彼の背中に抱き着きます)

みつめられて慌てて逃げる桐子の背中に、英次は心の声でこうつぶやくのでした

「樺太まで聞こえるかと思ったぜ!」(笑)

 

あの頃 あの娘(こ)を 思ったら

歌いだすのさ 舟歌を

桐子は、昔愛したある男の事情を思いながら、この歌を口ずさみ続けます

英次は英次で、たった一度の裏切りに、冷たく突き放してしまった妻の切ないあの表情が忘れられません

妻直子(いしだあゆみ)が、駅のホームで敬礼しながら別れたシーンです(笑いながら…そして涙ながら…)

 

作詞者「阿久悠」さん、数ある名作の中でも傑作に位置するこの歌詞だと思います

彼は、高倉健さんをイメージしてこの『舟唄』を作った気がしてなりません

 

「八代亜紀」さんにとっては、初めての男歌

彼女が歌うことにより、男の悲哀がより身にしみます

ラストのエンディングで三たび流れてきたときは、涙なしには聞けませんでした

 

映画の脚本は「倉本聰」さん

 

英次が逮捕し刑に服した犯人から、手紙が届きます

そこには、感謝の言葉と共に辞世の句が添えられていたのでした

暗闇の彼方に光る一点を 今 駅舎の灯と 信じつつ行く

 

英次は、実は射撃の腕をかわれたオリンピック出場選手

同じオリンピックマラソン選手「円谷幸吉」選手

家族に向けた最後の手紙が、映画の中で紹介されます

 

何ら接点のないように見える2通の手紙、しかしその見事な対比に驚かされます

倉本聰脚本なしにこの映画は成り立ちません

 

「いやぁ!映画って本当にいいもんですね」

警官マニアでもある「水野晴朗」さんもこのように言われていました

 

「演歌って、舟唄って、本当にいいもんですね」

「八代亜紀さんって本当に…」

「演歌ひとすじ」『愛ひとすじ』の方だった気がいたします

 

演歌の灯が消えつつある昨今、「八代亜紀」さんの存在なしに、何を信じて行けばいいのでしょうか・・・

 

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