藤正樹 今でも、あの頃の思い出の雨は降り続いていますか

紫色の詰襟学生服とおむすび頭大仏様のような福々しいルックスで大人気を博した

芸能界、やはり目立ってナンボなのでしょうか

 

それにも増してウィキペディア様のこの表現です

なんとも的を射たこのご説明は、感動すら覚えました

 

何でもご存じのウィキ先生には、いろいろの情報を頂き感謝しております

当時の置かれた状況の説明の最後には、この言葉でしめくられています

 

他のヒット曲に『あの娘がつくった塩むすび』がある

 

誠に失礼な話ですが、一切を存じ上げません

検索して聴かせていただきましたが、記憶のかけらも見つけることはかないませんでした

忘却という名のわが罪が、身に沁みます

 

「藤正樹」さんと言えばやはり『忍ぶ雨』一択です

当時はうかがい知れなかった演歌の世界が、なんとも胸に突き刺ささる今日この頃の、梅雨前のひと時なのでした

 

忍ぶ雨 1973年(昭和48年)

阿久悠作詞・新井利昌作曲・竜崎孝路編曲

 

『スター誕生!』から15歳でデビューした少年は、阿久悠先生からこの歌詞をもらってどんな思いだったのでしょう

すさまじいまでのこれぞ演歌!というこの内容を、中学生に歌わすことに、恐れを知らぬ昭和の力と共に、すがすがしささえ感じます

 

新御三家、天地真理、アグネスチャンそして、その後時代を揺るがす山口百恵を含む中三トリオ・・・

アイドル化へと一直線に進む中、あのいでたち、あの衣装、そしてあのビジュアルです

男「藤正樹」さんは「演歌の怪物ハイセイコー」のキャッチフレーズを背負い、歌謡界へと勝負をかけて殴り込んでいくのでした

 

傘をさす手の か細さが

長い不幸を 物語る

重いです

ずっしりとのしかかるこの重さに、いったい何人の人が耐えきれるでしょう

まして、彼はまだ幼き少年

 

理解できる範囲ではるか遠くに臨んでも、おとなの闇は深まるばかりです

歌詞の内容もさることながら、少年の肩には荷も重すぎます

 

阿久悠さんの戦略に、恐怖と畏怖を感じずを得ません

 

路地の石段 夜更けに帰る

「いしだん」はなんとなく理解できても「ろじ」などと言われてもピンときません

まして「よふけ」などそんな言葉の存在自体知りませんでした

 

当時の私の感想です

っていうか、歌詞の意味など二十歳を大きく過ぎるまで深く考えたことがなかった自分を恥じ入るばかりです

 

聡明なる『藤正樹』さんは違います

絶大なる歌唱力と表現力を持って、歌い上げます

 

弱い女の 弱い女の 忍ぶ雨

 

和服の女性の寂しげに俯(うつむ)く姿が自然に思い浮かべることが出来るような、素敵な歌詞であふれていました

この歌の凄さに気づくのに50年かかりました

 

当時の映像を拝見していると、驚きの場面に出くわしました

(お顔が私の若い頃にかなり似ているのです…そんなことはどうでもいいんですが)

 

あの頃君は若かった

マサキ~(…と私の耳には聞こえました)

声援です

若い女の子の叫び声です

 

彼も立派なアイドルだったのです

 

昭和の歌が好きです

そして、そんな昭和のファンがとてつもなく愛(いと)おしく、素敵なのでした

 

彼ような新人歌手は貴重で、「森昌子」さんの男性版とも言えるかもしれません

それにもまして、「マサキ~」と黄色い声を放つ女の子も二度と現れることはないでしょう

いい時代を過ごさせていただきました

 

気になるのは「新井利昌」という作曲者です

ウィキ先生に再び登壇していただきましょう

 

ザ・ドリフターズのオリジナルメンバーでもあった

意外です

「ザ・ドリフターズ」が正統な音楽バンドだったことの証(あかし)を突き付けられた気がします

 

作品に『長崎の夜はむらさき』(瀬川瑛子)がありました(結構好きです)

瀬川瑛子 『長崎の夜はむらさき』 膝上23㎝のスカートのウェディングドレス姿 現在でもさすがです

稚拙な上記ブログでは触れられておらず、失礼しておりました

 

『津和野ひとり』(森昌子)も名曲です

(この曲に刺激され、野郎二人で出かけたほどです)

(鯉が泳いでいたことと、帰りに事故ったことしか覚えていませんが…)

湿り気のない軽妙なテンポは、つらい歌詞に明日への希望を与えてくれるのでした

 

そして本作『忍ぶ雨』

アレンジは、むせび泣くようなサックスを中心とした、昭和演歌まっしぐら仕様です

 

しかし…しかしなのです

恋にすがって 捨てられて

恋にやつれた このからだ   【3番の始まりの歌詞です】

 

この厳しいい状況にもかかわらず、その雨の合間に日差しがふりかかるように、心は穏やかになるのです

この安心感、この充足感が曲調全体にあふれ出ている気がします

 

これこそが「新井利昌作品」の醍醐味だと勝手に解釈し、なぜか六月の雨を待ち遠しく思う私なのでした。

 

森高千里 三善英史  それぞれの『雨』 それぞれの原宿 (こちらに意味はありません)

究極 『六月の雨』 伝説の高校生フォーク・デュオ 40年の時を経て…

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