昭和から平成へと「雨」と付く曲は数あれど、この題名のシンプルさ・潔さに惹(ひ)かれます
三善英史 雨 昭和47年(1972年)
作詞:千家和也 作曲:浜圭介 編曲:近藤進
ムード漂う前奏(オーボエ?サックス?クラリネット?)が、哀しげな雨模様を演出します
雨に 濡(ぬ)れながら 立たずむ女(ひと)がいる
「雨に~」の意表を突く高音からの「~れながら」の「が」までの下がり方
このインパクトたるや『大都会』(クリスタルキング)あるいは『星屑のステージ』(チェッカーズ)をも凌駕(りょうが)いたします
しかも演歌です
きゃしゃな感じの二枚目でもある「三善英史」さんは、透き通る声で高音を響かせます
歌う姿は直立不動で、実直そのものです(女心を現すのに、動きはいりません)(彼の哀し気な表情さえあれば、それでいいのです)
売らんがため・・・悲しすぎます
先ほど、「ウィキペディア」で悲しい事実を初めて知りました
(時は天地真理さん全盛期、三善さんには興味の薄い少年に罪は・・・)
もう一つの名曲『円山・花町・母の町』は、ご本人の出生のことが、プロモーションとして利用されていたのです
当初の約束では シングルとしての発表はしないことになっていたらしいのです
小さい頃から苦労されたと聞きます
『雨』の大ヒットでやっと掴(つか)んだささやかな幸せでした
見返りと言わんばかりの、この芸能界の仕打ちです
彼は、この歌をどんな想いで歌っていたのでしょう
母の姿を 島田で隠し 病気の僕を 家におき 作り笑顔で 夜に咲く
円山 花町 母さんの 苦労がしみた 日陰町 ”円山・花町・母の町(作詞:神坂薫)”
これが芸能界ですか(ちなみに、本人歌唱の動画は見ることはできません、当然でしょう)
こんな事があっていいんでしょうか(その後も、彼の個人的情報を事務所の社長がマスコミに売ります)
すみません、つい興奮して『雨』を忘れていました
約束した言葉だけがを 幾度もかみしめて 追い越す人にこずかれても 身動きしない
ダメです、「三善英史」さんの姿がダブってしまい、『雨』の世界に入りきれません
恋は いつの日も 捧げるものだから じっと耐えるのが つとめと信じてる
彼もまた、じっと耐えていたのでしょう
今後のご活躍を、心よりお祈り致します。
森高千里 雨 平成2年
作詞:森高千里 作曲:松浦誠二
森高千里という人を、私はよく知りません(何となく見覚えはあります)
ミニさカートをはいて、ひらひら踊っている場面(17才を歌っていた頃か)を、何となく知っている程度です
しかし、しか~しです、お父さん方(綺麗なお顔とおみ足ばかり眺めている場合では、ありません)
彼女の能力は計り知れないどころか、予想をはるかに超えていきます
雨
イントロの電子ピアノ(たぶん)が、いい曲モード全開です
このイントロ、100人中、98人は絶賛します(二人ぐらいは、「クラシックピアノが一番派」がいるものです)
ひとつ ひとつ 消えていく雨の中 見つめるたびに 悲しくなる
始まりからここまで、わずか45秒
素敵すぎる旋律とお声に、メロメロに98人はなります(もういいですね)
さよなら 私の恋
自分に言い聞かせますが、本音は・・・
切なく、声まで憂(うれ)いを帯びてきます
雨は冷たいけれど ぬれていたいの 想いでも涙も 流すから
「作詞も沢山手掛けておられ、アイドルを超えたアーティストです」
ぐらいでまとめの言葉を考えていたのですが・・・
知れば知るほど
《ウィキペディアの紹介より》
担当楽器:ボーカル・ドラムス・ギター・ベース・キーボード・リコーダー(これいる?)
何でも器用にこなす程度かな、と思っていたら
とんでもない、スーパーマルチプレイヤーだったのです
ドラム一つ取り上げても、色んな有名アーティストの方々が、絶賛されています
プロを超えたプロフェショナルだったのでした(ドラムを軽やかにたたく姿が、今でも焼き付いています)
たとえが少し古いですが、「大谷翔平」さんなのです
投げて、打って、走って、守って、イケメンで、優しそうで・・・
容姿(お年を召されても、さらに)、スタイル(お年を召されても、なお)、お声(お年を召されても、かなり)、歌唱力(お年を召されても、より)、作詞・作曲・演奏力、性格も(たぶん)、選んだご主人も(きっといい人)
これらすべてにおいて、素晴しすぎる方でした。
P.S.
それぞれの
昭和と平成 それぞれの『雨』
「じっと耐える」女性と「さよなら、私の恋」と思い出も涙も、流しさる女性
どちらの女性も、とても魅力的でした
そして、「三善英史」さん・「森高千里」さんに出逢えたことは、この上ない喜びだったのです
おふたりのことは「私がオジさんになっても」忘れることはないでしょう(実はもうオジイさんに近いのですが)
『それぞれの秋』(アリス)
『それぞれの原宿』(ロス・インディオス&シルヴィア)
それぞれの『雨』(三善英史&森高千里)
それぞれシリーズは、なんと名曲が多いことだろう。
了
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