冬の華 高倉健 主演 昭和53年 音楽/クロード・チアリ

「プライムビデオ(アマゾンの映画配信サービス))でオヤジの好きな映画が配信された」と知らされたのは、我が息子(俺は見ないけど…)からでした

 

ツタヤで幾度となく借りていた「冬の華」

 

早速、イベント中の「ツムツム」を中止してでも、見ないわけにはいきません

何度見ても、嫁には笑われながらも、涙はあふれるのを止めることはできません

 

日本映画の傑作

健さんの視線、クロード・チアリのギター旋律

想像するだけで・・・

 

クロード・チアリ

 

BGMを超えるギター音楽

 

映画の中で、これほどまでに印象深い使われ方をした作品を、他に知りません(そんなにたくさんは見ていません。むしろ少ないほうです)

 

タレントとしてのイメージ(ヒガシマル醬油・ちょっとどんぶり/ちょっとぞうすい)が強い私には、プロとしての技に、驚き・圧倒されたのです

彼のこの演奏なくして「冬の華(はな)」は語れません

 

前座を、ビートルズが務めたほどの人気バンドからの独立らしいです

ギター曲「夜霧のしのび逢い」は、世界的にヒットしました(聞けば、なるほどこの曲かって感じです)

 

何度も流れる、禁断の旋律

 

至高であり禁断なのです

この音楽を聴くと、健さんの切ない表情が思い出され、反射的に涙腺(るいせん)が緩(ゆる)みます

 

いわゆる「パブロフの犬」です

この「条件反射」に到達できれば、きっとあなたも、名誉ある《冬の華のBGMだけでパブロフの犬になれる会》に参加できるでしょう

 

中でも、劇中サビ部分のフレーズを「これでもか」っていうぐらいに繰り返し演奏する場面があります

引っ張って、引っ張って、引っ張りぬいて・・・

ギターの弦が悲鳴を上げるかのように

 

そして私は、聞けば聞くほど、歓喜の声を上げるのでした

 

映画と健さんとBGM

 

「となりのトトロ」の劇中で流れる素晴らしきBGMを創作した「久石譲」さん

映画や音楽関係者のみならず、各方面で高く評価されています

映画のBGMには壮大なオーケストラがよく似合います

 

しかし、クロード・チアリさんはギターだけですべてを表現します

日本に帰化されているらしく、まさに「ギター侍」なのです(波多陽区のほうは少し残念でしたが)

 

「久石譲」さん・映画曲「禁じられた遊び」とも肩を並べられる、特筆すべきバック・グラウンド・ミュージックなのです

 

私の中では、むしろバックではなく、横に並んでいる、主役をも脅かす名脇役なのです

この音・この旋律が、「健さんのもう一つのセリフ」であり、「生き方そのもの」に思えてくるのです

 

「冬の華」 昭和53年公開

 

監督:降籏康男(ふるはた やすお) 脚本:倉本聰(くらもと そう)

 

やくざ映画と呼ばないで

 

暴力的シーン(寡黙《かもく》な健さんをたった二度だけ怒らせますが)や、よくありがちなエロティシズムなど、ほとんど描かれていません

 

そこにあるのは、男の振舞いや人としての生き方なのです

組織の義理を背負って、15年の服役です

気になるのは、被害者(訳あって健さんが15年前殺めました)の娘(池上季実子)ただ一人

 

チャイコフスキー・ピアノコンチェルト

 

出所後、一目見たく横浜の名曲喫茶へ(店内はクラシックが流れ、リクエストすることもできます)

彼女(もうすぐ17歳の高校生)の好きな曲は、「チャイコフスキー・ピアノコンチェルト」

 

店員:「何かリクエストは?」

 

健さん:「少しためらったのち、たどたどしくチャイコフスキーのピアノコンチェルトを」

 

店員:「ただ今、かかっている曲でございます」(その後の健さんのリアクションが素敵すぎます)

 

 

何度か訪れる彼を、熱く見つめる彼女(15年間援助してくれているあしながおじさん健さんがダブります)(もしかしたら、あの人が…)

 

関東と関西組織の抗争

 

引き金は、マイクの取り合い

カラオケ好きでもある幹部「小林亜星」(オロナミンCばかり飲みながら歌います)

 

「昔の名前で出ています」「港町ブルース」「津軽海峡冬景色」立て続けに歌います(いい選曲です、上手に歌ってない所もいい)

数少ないお笑いシーンを一手に引き受けています(「日本は一体どうなるんだ」が口癖です。ヤクザのあなたが言うのね)

 

抗争のさなか、健さんにある幹部が、「裏切った奴は、あのオジキでは…」と相談します

「馬鹿野郎!人を疑ってどうする!!」って叱りつけます、普通ならば・・・

 

やめなよ(優しく)

仮にもオジキ分だろ(あくまでも優しく)

 

静かに、少し俯(うつむ)きながら、彼がそんな人ではないことを、丁寧に説明するのです

 

「やめなよ」ってあんな風に優しく言われたら、誰でも・何でも、速攻やめます

 

ひとりごとのように、 自分に言い聞かせるみたいに

 

舞台は中華料理店小沢昭一《オーナー役》の片言の日本語がとても秀逸です)(彼の出演で映画が和みます)

 

健さんは、唯一心を許している元・舎弟(田中邦衛)にぽつりと語るのです

隣には楽しそうに食事する親子三人、笑い声が響きます

 

「どうしてかなぁ」 《何がですか?》

「あの頃はそればっかり考えていたよ」

「出たら、一緒に食事しよう」(表情が少し緩む)

「何よりも真っ先に、会いに行こうって」(一瞬、輝きさえ見せます)

「・・・どうして会えるなんて ・・・ 思ってたのかなぁ」(悲し気にうつむきます)

 

当然BGMが入ります(泣かしにきています)(ここで泣かないなんて、人ではありません)

 

このシーンを挟んだ、前後

名優「田中邦衛」も目線使い、渾身の演技を健さんにぶつけてきます

 

役者の方々は、皆「健さん」を尊敬し、心酔しながら演技しています(たぶん)

最後の健さんの「どうして会えるなんて」のあとの、微妙な「間(ま)

たまりません

 

「男が男に惚(ほ)れる」

 

ありきたりな言い方しかできない自分が情けないです(女の人も、江利チエミもみんな惚れます)

ぜひ、映画で実感してみてください

 

「ギター音楽」に、「脚本」に、「脇役陣」に、そして「健さんのすべての目線」

あなたも必ず「惚れてしまいます」

 

ヤクザが出る映画ですが、決して「やくざ映画」ではないのです

 

P.S.

 

進撃の巨人

 

最近動画で見始めました

もともとグロイ描写は苦手なほうでしたが、ストーリー的には素晴らしいものがあります

 

第一話の「母親が殺されるシーン」は強烈で、思わず目をそむけたくなります

息子いわく、「あの体験こそが、主人公の今後に影響を大きく与える」ので、とても大事なシーンらしいです

 

劇中の健さんも、暴力的になる場面があります(二度とも、彼女に関係します)

「進撃の巨人」と同じく、どうしても必要なシーンだと思います

 

映画のタイトル

 

「網走の花嫁」に変更要請

 

「冬の華」では客が来ない

そんな理由で東映社長より変更要請があったみたいです

 

しかし、脚本家「倉本聰」は、頑(がん)として譲(ゆず)らず、跳ね返します ”ウキペディアより”

タイトル「冬の華」だからこそ

 

なんと美しい響きでしょう

健さんの心も、彼女の心も、お互い相手に「華」を夢見ていたのかもしれません

 

あくまでも、個人的な浅い考えでしかありませんが…

それにしても、「網走の花嫁」はいただけません

 

いつかその日が

 

我が息子は、「やくざ映画は嫌い」と言って見ようとしません(でも、親切におしえてはくれるのです)(金遣いは激しいが、いいヤツなのです)

 

「進撃の巨人」を理解したように、この「冬の華」という作品を、一緒に鑑賞できる日を心待ちにしています。

 

 

藤 純子 緋牡丹博徒(ひぼたんばくと) 昭和43年(1968年)

昭和の名曲・映画 思えば遠くへ来たもんだ 海援隊 

 

 

 

 

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