『迷い道』 渡辺真知子 哀愁の歌謡曲 昭和のCD全10巻 1-16

笑える寸劇 『迷い道』

【場面1】

「渡辺真知子」さんはとても楽しそうにこの歌詞を口ずさみながら運転しています

 

【場面2】

野茂(当時ドジャース所属)さんが、渋い顔をして助手席に乗っています

(どうやら、彼女が道に迷った気配を感じているのです)

 

ひとつ曲り角 ひとつ間違えて 迷い道・・・

気持ちよさそうに歌っている途中で、かぶせ気味にしれっと指摘されます

「真知子さん、カーナビ付けたら!」

 

「この一言」で、真知子さんは一気にトーンダウン

悲しそうに野茂さんをにらむ表情も、これまた魅力的なのでした

 

私はこの「トヨタ」のCMが好きで、何度も見返しています

『迷い道』をこんなに楽しそうに歌っている「渡辺真知子」さんを愛してやみません

彼女の無邪気さ全開なこの明るさに、どれほど救われたことか・・・

 

笑えない喜劇 『迷い道』

作詞・作曲:渡辺真知子 編曲:船山基紀

 

イントロのピアノの力強さは、彼女の声量や歌い上げるパワーにすごくマッチしており、製作者たちの自信が凄く伝わってきます

この壮大なる大陸感、自然豊かな大地を連想させるようなスケール感

失恋ソングに当てはめるには、あまりにも男らしい作品なのです

 

「渡辺真知子ただいま見参!」

「あらゆる人民たちよ、我らの実力・才能を見逃すことなくご覧あれ!」と言わんばかりの迫力を感じるのです

まさか、そんなことは一切思っていないでしょうが、当時の私はこのデビュー曲にかなり圧倒されていました

「ははぁ~、真知子殿~参りました~」ってな感じで、ひれ伏したくなるのです

 

そんな偉大な歌唱とアレンジに隠れていますが、歌詞の世界は極めて繊細です

さめかけたあの人に 意地をはってたなんて

 

仲直りのきっかけがあっても、なぜか自分からは言いいたくない

自分にすこし非があっても、素直には認められない

ついつい、意地を張ってしまう・・・

「ずっと私だけをみつめていて欲しい」ただそれだけなのに・・・

 

若さゆえの、取り返しのつかない「逆張り」なのか?

”まるで喜劇”と自嘲するしかないのです

 

人に笑われる前に、先に自分を笑うことで何とか精神の均衡を保つことが出来たのかもしれません

 

切ない悲劇 『迷い道』

 

1番・2番それぞれ各1分で曲は構成されています

さすがにこれでは短すぎると、急きょ3番が追加されました

 

ここから少し「ジェンダーハラスメント」に問われそうなお話となります

女性は一つの恋が終わると割とあっさり次に向かい、男はどこまでも引きずり続けるなどと言われていました

以前は、「男まさり」「女々(めめ)しくて」などの言葉が当たり前に使われていました

 

扉をあけているの 今もあなたのために

『迷い道』の中で一番好きな歌詞です

なぜなら、とても切ない女性の心理が、不思議と心地よい安心感として心にとどまるからです

 

昭和の歌詞は、現在では不謹慎な部分もたくさんあります

けれども男女関係なく、「人」を真剣に思い続けることに「ジェンダーハラスメント」の言葉は結びつきません

 

「忘れられない」ことは、「女々しい」ことでも「男としてふがいない」ことでもは決してないのだから・・・

 

その後の活躍劇

 

映画『メイン・テーマ』に初出演し、女優としても活躍の場を広げます

また渡米後、帰国してからは多様な音楽に触れた成果を、全国でのライブ活動で生かします

これらのご活躍を聞いていると、最初のCMが思い起こされました

 

あれ以来「渡辺真知子」さんの中には、きっと「高精度な最新のカーナビ」が組み込まれたに違いありません

 

了

石川さゆり 『沈丁花』『霧のわかれ 』  若き日に、演歌界の天城峠をすでに越えていました

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