ずっと田舎に住んでいる私は、通学路といえば、小学生の頃からずっとお決まりの一本道でした(正確には言えば幼稚園からで、片道3キロは結構きつかったです)
道路沿いに薄暗いニワトリ小屋があり、大きな黒っぽい犬が門前に控えていました
見るのも怖く、小走りに走り去るのですが、たまに大声で吠えられます
夢の中では、道の真ん中に仁王立ちで現れるなど、避けては通れない恐怖の通学路だったのです
革新的な音楽グループ「たま」
昭和の名曲を語るうえで、こちらもまた決して避けては通れないグループなのです
しかし、悲しいことにあの犬同様、情報不足・知識不足は否めません
音楽性が革新すぎて私のキャパシティーを越えており、自身の受け入れ能力の低さも重なり、「たま」というアーティスト集団から目をそむけたかったのかもしれません
夢に出てきても困るので、とりあえず手堅く安全に、代表的楽曲『さよなら人類』です
鎖につながれていることを確認するが如く、誰からも吠(ほ)えられないようそっと忍び足で・・・
さよなら人類 1990年
作詞・作曲:柳原幼一郎
今日人類がはじめて 木星についたよ
ピテカントロプスになる日も 近づいたんだよ
「ピテカントロプス」?
人類の祖「ジャワ原人」の事らしいです
とにかく、年代は 170 – 180万年前ごろですので結構なむかしです
歌詞の最後に「サル」という言葉も登場します、人類と猿の中間ぐらい位の意味でしょうか
この歌は、人類の始まりの話か、世紀末なのかさえも分からない、不思議な世界です
詩の世界に限らず、音楽性に関しても、演歌耳・フォーク耳に完全に支配されている私には、正確な判断など到底できる領域にありません
なので、偉大なる先人たちの感想及び評論を中心に紹介させていただきます
彼らは「JITTERIN’JINN(ジッタリン・ジン)」「BEGIN(ビギン)」たちが出場した「いか天」(『三宅裕司のいかすバンド天国』)にて注目を浴びました
素人バンドの中から、才能あるミュージシャンを発掘するみたいな企画です
審査員のそれぞれのコメントです
「“能ある鷹は爪を隠す”かもしれない」「涙出てきちゃった、それと同時に笑いも出てきちゃった」(中島啓江)
「変でしたね。こういうの分かるって言っちゃいけない、分からないんだけどいい」(グーフィ森)
「取り換えが効くバンドってどうしても多いんですが、これは替えが効かないな」(萩原健太)
「君たちはもう愛され始めてるから気を付けなさい」
「たま」の一人一人の才能もぶっ飛んでいたのでしょうが、審査員も負けず劣らず凄いです
すぐれた作品は、それがどうやって作られたかなんてあんまり考えさせないで、ポッカリ生まれたように見える、それが凄い (大島渚)
この監督、すぐブチ切れるヤバイだけの変なおっさんではありませんでした
YouTubeで見た人たちのコメントです
たまは全員「鬼太郎」に出てきてもおかしくない
この「妖怪感」がクセになるんだよな
当然、誉め言葉でしょう
引用文ばかりになりましたが、私が理解するにはまだまだ時間がかかりそうです
彼らには、「あるがまま」と「無欲」、そして原石の中の見たこともない「不純物の輝き」を感じます
「たま」の偉大なるメンバー
【知久 寿焼】(ちく としあき) : ボーカル・ギター・マンドリン・ウクレレ・ハーモニカ
第一回挑戦曲『らんちう』(金魚のランチュウの意味)の作詞・作曲者です
第四回挑戦曲『ロシアのパン』(作詞・作曲)
髪型・衣装・雰囲気全てにおいて異彩を放ちます
テレビ慣れしておらず、少し挙動不審な面もありますが、歌いだすと全くの別人になります(爪を噛みながら仕事に没頭するみたいな、「太田光」さんのイメージにダブります)
特技が「ホッピング」、意外です
【柳原 幼一郎】(やなぎはら よういちろう):ボーカル・オルガン・アコーディオン・ピアノ・キーボード・鍵盤ハーモニカ・ギター
第二回挑戦曲『さよなら人類』作詞・作曲者
第三回挑戦曲『オゾンのダンス』作詞・作曲者(この演奏に関しては、特に高評価です)
「たま」といえば「知久 寿焼」さんというイメージでしたが、意外にも彼が司令塔かも
多くの作品を手掛け、全方向へと才能を発揮しています
特技、「猫遊び」
「たま」とかけているのか、真意は不明です
【滝本 晃司】(たきもと こうじ):ボーカル・ベース
テレビなどには出たくないオーラが半端ありません
一切笑わず、こびへつらわず、ひたすら超絶のベースラインを奏でます
番外編『夏の前日』作詞・作曲者です
「いか天」出場映像では一切歌うことのなかった彼、ボーカルもかなりいけていたのです
特技、「ボール遊び」
あるトーク番組で紹介されていました
この映像では貴重な笑顔が見られます
【石川 浩司】(いしかわ こうじ):ボーカル・パーカッション・オルガン・リコーダー
第五回挑戦曲『待ち合わせ』
一見分かりやすいおちゃらけキャラに見せかけての、凄腕ドラマーらしいです(叩いているのは風呂オケ、いい音を出します)
丸刈りのランニング姿(今はタンクトップというらしい)は、芦屋 雁之助さん演じる「裸の大将」って感じでしょうか
特技、「肩こり」
ドラムセットに「風呂桶(おけ)」と「タンバリン」のチョイスといい、さすがです
「たま現象」と呼ばれるほどの人気を獲得していたことも知らなかった私ですが、この4人の奇跡の出会いに感謝するばかりです。
P.S.
ランチュウ
大きく3つに大別されるようです
- 大阪らんちゅう(戦災によって絶滅し、その後復元)
- 宇野系(陶芸家宇野仁松)
- 協会系(石川亀吉が作出した)
ランチュウ(蘭鋳、蘭虫、卵虫)は、キンギョの一品種。背びれがなくずんぐりとした魚体、頭部の肉瘤の隆起などが特色である
金魚には「品評会」という文化があるが、ランチュウは特にその文化が発展している。
(ウィキペディア)
『さよなら人類/らんちう』は、「たま」のデビューシングルです
「ランチュウ」と同様に、この芸術作品の価値が理解できるよう、丹念に慈(いつく)しんでみたいと思います。
了
『プレゼント』 JITTERIN’JINN(ジッタリン・ジン) 日曜日の夏祭りのあとに、もらったものとは…
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