演歌・歌謡曲をこよなく愛し、田舎暮らしに何ら不満のない私が、なぜかこの曲に惹かれてしまったのです
都会の匂いを感じさせるとてもオシャレな雰囲気が、今までの私の生き方とあまりにも対極的過ぎるせいなのかもしれません
夏の愛人 昭和60年(1985年)
作詞:売野雅勇 作曲:山本達彦 編曲:佐藤準
爪先に 口づけを せがんだね あなたは
いきなりの強烈な一撃を放ちます
「あなたの知らない世界」を地でいくような女性の登場です
銀色の ハイヒール 右足に ひとつ
なるほど!
何が「なるほど」なのか分かりませんが、何となく都会の大人の世界が見えてきます
グラスあて 真夜中の プールへ誘ったよ
お金持ちと言えば自宅にプールそして愛人、これはもう必須条件なのかもしれません
こんな生活を夢見ることさえしなかった私でも、どうしてこんなにも惹きつけられるのか・・・
「山本達彦」さんのこの声が、あまりのも嫌味なく爽やかに流れてきたせいかもしれません
まるでプールに浮いた「銀のハイヒール」が揺(ゆ)らめくように、少しまぶしくそして気持ちよく、ふわふわとした気分にさせてくれるのでした
夏の日の 愛人なら 淋しい・・・と ささやくのは 止せよ
裸の まま泳げよ ほろ苦い 恋の痛み 消すよに
人生のある時期、何かにとりつかれたように女性へと走り、世間からもバッシングを受けたり、家族の崩壊を招いたりしてしまう
そんな男を軽蔑半分羨ましさ半分見ていた私が、何となく納得してしまいそうになる、軽快なリズムとオシャレなセリフの数々
このサビの部分には、人をひきつけてやまない、底知れぬ魔力のようなものがあるのです
珊瑚礁(さんごしょう) 砕け散る 波の音が遠く
忘れてと つぶやいた あなたが哀しいね
今ではもう枯れ果ててしまった身には、「人の煩悩(ぼんのう)とは何か」などと似合わぬことも考えたりしています(確かに今はお盆だし…)(全然関係ないけど…)
そんなことまで思いめぐらしてしまうほどの、この曲には余韻ある終わり方が何度となく訪れるのでした
そして、私が定期的にこの歌を聴きたくなる理由のもう一つが、最後のくり返し部分のアレンジです(間奏がピアノのバージョンの方です)(たぶんこちらがオリジナル?)
何度聴いても、耳は大喜び・心は悶絶しそうになるばかりです
ありがとう「山本達彦」さん、ありがとう「佐藤準」さん
・・・人生が 掌に重いよ No more say I love you
最後の「売野雅勇」さんの歌詞が心に響きます
あまりにも軽い生き方をしてきたわが身に、昭和の名曲は少しだけ重みを増すお手伝いをしてくれます。
P.S.
『夏の愛人』はAGF”カフェスタ”CMソングだったようです
「味の素ゼネラルフーヅ」(現:味の素AGF株式会社)といえば、秀逸なコマーシャルがたくさんありました
特に「ブレンディコーヒー」のCMは群を抜いており、キャッチコピー・BGMともに最高レベルに仕上げられていました(1980年代)
仲畑貴志/コピーライター
・働いているお父さんより、遊んでるお父さんのほうが、好きですか。(サントリー・オールド)
・おしりだって、洗ってほしい。(TOTO・ウォシュレット)
・ココロも満タンに、コスモ石油。(コスモ石油)
これまでに「仲畑貴志」さんは多くのキャッチコピーを手掛けてこられました
【母が恋した頃の夏に、娘が近づいていく】
「ロンドンデリーの歌」(アイルランド民謡)のBGMにのって【柔らかさが新しい、新ブレンディ】と続きます
のどかな時代の余裕を感じるCMが贅沢(ぜいたく)に作られていたあの頃・・・
そして今でも忘れらえない言葉、いくつもの苦難を乗り越えさせてくれた素晴らしいメッセージをご紹介させていただいて、終わらせていただきます
【家族の顔を浮かべると、生きていけると思う】 /By「仲畑貴志」
了
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大沢誉志幸 そして僕は途方に暮れる 昭和59年(1984年)
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