作詞:長谷川清志 作曲:長谷川清志
別れのサンバ 昭和44年
何にも 思わず 涙も 流さず
あなたの 残した グラスを見つめて 独り・・・ ・・・
僅(わず)か十四行に込められた儚い思い
19歳の少年は、何を思い何を感じながらこの詩を書いたのだろう
たぶん、いくら想像してみても思い及ばない出来事・体験を重ねてこられたのかもしれません
それらを試練という言葉で表現するのは失礼な気がします
日本を愛しながらもジャンルに拘(こだわ)ることなく、日本語を愛し続けた彼の渾身の一撃
”一人涙も流さず、残されラグラスを見つめています”
”ただあなたが愛したこの髪が、今も泣き続ける”
この世界観が、超絶のテクニックと力強さを持ち合わせるギターに伴(ともな)われ、発揮されていくのです
進化し続ける歌声
近況は存じ上げませんが、少なくともデビューされ40年が過ぎた時点においても、その歌声は衰えるどころかハリが増し、力強く伸びていきます
歌声のピークを40年以上あとに持ってきて、尚且(なおか)つずっと維持されてる素晴らしさ
いや、ピークをあとに持ってきたのではなく、「努力し続けたから次々と新たなピークが訪れてきた」との表現のほうが正しいかもしれません
このようなアーティストを私は他に知りません
パーカッショ二スト 仙道さおり
長谷川きよしさんは、とてつもないギターテクニックと一緒に、このパーカッション界のシンデレラ(勝手につけました)仙道さんを伴い、よくライブコンサートをされているみたいです
コンガやカホンという打楽器を使われます
「コンゴ」という国は聞いた覚えがあります・・・ ≠ コンガ
「ゴホン!と言えば、龍角散」も何となくわかりますが・・・ ≠ カホン
されども「パーカッション」という呼び方すら最近知った私には、かなりハードルの高い世界のようです
≪コンガ≫:民族音楽でよく使われている、太鼓を長細くした物(2個セット)のようです
≪カホン》:ラテン系パーカッションで、全体が木でできている箱型の物らしいです
どちらも当然手を使って叩きます
仙道さんは、このカホンを股に挟んで叩かれている映像をよく見かけます
ものすごくカッコいいんです
息もピッタリで、一瞬のお二人のアイコンタクトがたまりません
【何も足さない。何も引かない。】 サントリー「山崎」CMより
文豪 コピーライター 西村佳也の作品
”結構強(したた)かな、しかしながら鷹揚(おうよう)な、きっぱりとした個性である。
たじろがず、流れず、淫しない、その上ですべてを許してしまうような人格である。
ピュアモルトの奥の深さ。
こういうものが、今となってはなかなか見つからない。”
当然、このピュアモルト=長谷川きよしさんそのものです
(サントリCM「ピュアモルトウイスキー・山崎」のキャッチコピーより、一部引用させていただきました)
凄い文章です
このような文章を書けるようになりたい、そう思わずにはいられません
お二人のライブ動画を観て、何故かこのCMコピーを思い出したのです
【何も足さない。何も引かない。】
これこそ「長谷川きよし」の人生スタイルのように思えて仕方ありません
『別れのサンバ』 『仙道さおり』 『西村佳也』
あなた方に巡り合えたことに、心より感謝いたします
『For You]』の歌声・演奏も素晴らしかったので追加でアップしました
山本陽子さんも素敵です。
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P.S.
白いギターに憧(あこが)れて
日曜日の午後と言えば、土井まさるさん司会のTVジョッキーであった
素人参加番組で、いろんなことに挑戦し、その芸が認められると、日本中の若者たちが憧れた
あの「白いギター」がもらえるのでした
大御所になりつつある「とんねるず」(私にはいまだにピンとこないが…)や押しも押されぬ大俳優「竹中直人」さんもこの番組がきっかけのようです
当時は街中に楽器店が普通にあり、よほど機嫌が良かったのか、貧乏な我が家でも意外とあっさりとギターを買ってくれました
でも何故か、クラシックギター… 普通の茶色いやつです
真っ白で、パンダの目みたいな黒い部分がある「あの憧れ」のやつが欲しかったのに・・・
どうも、あちらはフォークギターで、わが手にしているものとは少し違うらしい
そう気づいたのは、かなり月日が流れてた後のことでした
まぁ、とにかく嬉しくて嬉しくて、気分はもう木にも天にものぼっています(あたかも「禁じられた遊び」のBGM奏者になりきった如く、毎日弾いたものです)
『別れのサンバ』の「魔法のような鮮(あざ)やかなギター演奏」が、そんな懐かしい昭和の思い出を呼び起こしてくれました
しかし、時の流れは抗(あらが)いがたく・・・
部屋の片隅で 捨てられた人形のように 「人形の家」より
弘田三枝子さんんは名曲「人形の家」で哀しく歌いあげます
ほこりにまみれた 人形みたい
愛されて 捨てられて
忘れられた 部屋の片隅 ・・・
作詞:なかにし礼
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実家の部屋の片隅で、今でも埃(ほこり)にまみれたままのあのギター
長谷川きよしさんの手で、生きているかの如く光輝くギターを拝見するにつけ、粗大ごみの集積場と化した離(はな)れ部屋のギターが不憫(ふびん)に思われて仕方ないのでます
了
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