『スモーキン・ブギ』(昭和49年)・『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』(昭和50年)の発表により、私自身も含め多くの人に注目されました
「ダウンタウンブギウギバンド」のデビュー曲『知らず知らずのうちに』(昭和48年)はあまり知られていません
シンプルなこのバラード曲ですが、のちに誰もが認める「宇崎竜童」さんの音楽的才能はすでに開花されていました
この時代、ロックバンドとしての完成度は高く、驚くべきものだったのです
知らず知らずのうちに 昭和48年(1973年)
作詞・作曲:宇崎竜童
知らず 知らずのうちに 君を 好きになって
知らず 知らずのうちに 夢を 見ていた
いきなり速球を躊躇(ちゅうちょ)なくズバズバと、わが心のミットに投げてきます(慣れない私は、うまく受け止めることが出来ません)(キャッチャーミットの扱いさえ知らなかったのかも知れません)
しかし、投球フォームはとてもしなやかで、きれいな回転で伸びていきます
冷静になって振り返ってみると、投球練習(イントロ)の時点から、もの凄いオーラを漂わせていたのでした
知らず 知らずのうちに 君の 家をみつけて
知らず 知らずのうちに 電話帳を ひらいた
時代は昭和です、70年代前半なのです
今の若い方には理解できない世界かもしれません
当時の青年たちの「思い」や「行動」そして「純粋なる不器用さ」、これらすべてを彼は「電話帳」いう言葉に押し込めます
ロックの神髄ともいえる間奏が入ります
イントロと同じギターの響きが 静かに さく裂 します
充実した日々や挫折(ざせつ)の数々、そんないろんな場面を思い出すよう、促すかのように・・・
知らず 知らずのうちに 君と 暮しはじめて
知らず 知らずのうちに 離れ られなくなった
一見無責任なような歌詞と、とれなくもありません
しかし私には、「宇崎竜童」さんの男らしい愛の深さが、この曲に、このシンプルな歌詞の中に込められている気がして仕方ありません(「阿木燿子」さんとは学生時代からお付き合いされており、この発売の二年後には結婚されています)
”知らず知らずのうちに”
いつの頃からか、日常会話から消えたこの言葉です
結果をすぐに求めすぎるのか、生きていくことに余裕がなくなってきているのか
”知らず知らずのうちに” 結婚し、”知らず知らずのうちに” 何回も会社を辞め、”知らず知らずのうちに” 白髪頭のオヤジとなった私には、とても美しい言葉に思えてなりません
人を落ち着かせてくれる緩(ゆる)やかな時の流れは、相手を見つめるときには必要なことかもしれません
(会ったときに「体と心でビビビッときたんです」という一目ぼれ婚も、逆にアリだと思うし羨ましくもありますが…)
今も昔も、人を好きになるのは『知らず知らずのうちに』
私の場合は、これ一択しかありませんでした。
P.S.
宇崎竜童さんが、女性ボーカリストに提供した曲のセルフカバーアルバムに『しなやかにしたたかに~女たちへ』という作品があります
『曼珠沙華』『愚図』『思いでぼろぼろ』『さよならの向こう側』等
そんな中、提供者も誰なのかわからない『あるアングル・トライアングル』という曲に惹かれました
トライアングル
『あるアングル・トライアングル』
男女三角関係の不安定さを、哀しい響きで表現されていました
こうゆう時に 男はどうして 黙るのだろう
こうゆう時に 女はどうして 泣きだすのだろう
もう一人の女は冷静に観察しています
私はなぜか ぼんやりと おもてを見ている
もう一人の女は自分の心も観察します
曲の間の長いセリフが始まり、遠い昔を蘇らせます
もう一人の女は、幼い日を思い出し、つぶやくのです
人気のない楽器「トライアングル」がいつも私にまわって来た音楽教室
三人と三角形とトライアングルを交差させ、「底辺叩(たた)けば、みんなが泣く」
ポツリと言って締めくくります
同じ三人模様を描いた山口百恵さんの『絶体絶命』も大変好きな作品ですが、この一歩も二歩もさがりながら、哀しそうに現実を見つめるこの女性に、気持ちを動かされてしまうのです
楽器・トライアングル(英語で三角形のこと)
一見すると簡単に扱えるように見えますが、クラシック音楽で使用される楽器の中では非常に熟練を要する楽器らしいです(ウィキペディアより)
熟練者ほど、いとも簡単そうに扱うのはどの世界も同じらしいです
次々と名曲を世に送り出した「宇崎竜童・阿木燿子夫妻」も、偉大なる熟練者であり、素敵な夫婦でもあります。(底辺をたたいても、びくともしないでしょう)
【関係ないですが、「キャンディーズ」が解散後、「キャンディーズJr」の名でアイドルグループが結成されましたが、熱狂的なキャンディーズファンの猛反発を受け、「トライアングル」に改名したみたいです(ウィキペディアより)】(まぁ、そうなりますよね!)
|
了
コメント