アリス 『遠くで汽笛を聞きながら』 何もいいことがなくても「終止符」は打つまい

はるか遠くを通過する貨物列車の線路の(きし)む音が、聞こえてこなくなったのはいつ頃からでしょうか

道路が整備され、自動車が増え、家が立ち並び、そして新幹線が瞬(またた)く間に通り過ぎていきます

 

古びたわが家と国鉄の線路の間に遮るものは、小高い丘と田んぼしかなかったあの頃

この曲は、そんな遥(はる)か昔のことを思い出させてくれました

 

遠くで汽笛を聞きながら 昭和51年(1976年)

 

作詞:谷村新司 作曲:堀内孝雄 編曲:篠原信彦

 

イントロのリードギターが郷愁を誘います(奏者は「矢島賢」さん、有名な方らしいです)

 

 

悩み つづけた 日々が まるで 嘘のように

忘れ られる 時が 来るまで 心を 閉じたまま

 

学生生活に挫折し、思いやなんだ昭和50年代後半

青春小説を読んではまた閉じの現実逃避の繰り返し

心も、そして下宿の安っぽい扉もずっと閉じたままでした

 

 

暮らしてゆこう 遠くで 汽笛を 聞きながら

何も いいことが なかった この街で

 

サビ前までは、ピアノだけの静かな空間に、ドラムが加わり一気に盛り上がります

この「矢沢透」さんのドラムの音と不規則っぽいリズム打ちがたまらなくいいのです(キンちゃんのキャラも結構好きでした)

 

当の私は、70~80年代の歌謡曲を聞きながら、”何もいいことがなかった”あの街で、も、なんとか暮らしていけました

 

 

むなしい 涙の 捨て場所を 探してみた 遠くで 汽笛を 聞きながら

 

この二番の途中から「谷村新司」さんの低く嘆きの「コーラス」が加わります

この場面にくるたびに、三人で奏でる「アリス」だからこその『遠くで汽笛を聞きながら』なのだと実感します

 

間奏はスタジオ・ミュージシャン「矢島賢」さんの世界へどうぞ

(私はいつも目をとじて、肩までどっぷりとつかり、このひと時に酔いしれます)(キンちゃんのキレイなシンバルが、エレキギターの音色と悲しみをそっと包んでくれるのです)

 

 

せめて一夜の夢と 泣いて泣き明かして

自分の 言葉に 嘘は つくまい 人を 裏切るまい

 

三番は少し高いベース音?が入ってきます

ここが聞き逃すことが出来ない音であり、メインキーワードの登場でもあります

心に響く言葉です

 

また同時に、現実逃避していた私には、「平松政次のカミソリシュート」のように、身も心もえぐられるのです(年代的に「西本聖」さんのシュートしか覚えていません)

 

 

生きていきたい 遠くで 汽笛を 聞きながら

 

「堀内孝雄」さんは、自分に言い聞かせるように、一つ一つの言葉を区切り、気持ちを込めて語って下さいます。(エンディングのギター演奏の、テケテケテケの早打ちは絶品です)

 

以上、発売当初のオリジナルをこよなく溺愛する「アリス」ファンより、お届けいたしました。

 

P.S.

 

”何もいいことがなかった”

 

何もいい事なんて、あるわけがないのです

何もせず、何も考えず、何もかも自分から捨ててしまっていたのだから…

親に甘え、友達に甘え、生き方に甘えていた日々

若き日のあの街で、すべてを放棄していたのです

 

”遠くで汽笛を聞きながら”

 

そんな自分を振り返ると、わが息子たちは立派です

長男は整備士をめざし、自動車の専門学校に行き見事トヨタ系のディーラーに就職

半年後に、物の見事に退社します(何ら目的もなく5年も大学へ行き中退の私からすれば、20才の若さで自ら社会へ踏み出しただけで立派です)(かれこれ1年近く家にいますが、あと2年ぐらいは勘弁してあげようと思っています)

 

そして、長男よりさらに早く将来を決めた次男(中学を卒業するころには、保育士を目指していました)

高校ではクラス(保育科)で男子は4人、現在の大学では3人いたけれど、今では孤軍奮闘・男はただ一人(ある意味羨ましいかも)です(あんたはエライ)(立派すぎます)(ほんとに俺の子か?)

でも、車好きは確かに私に似ており、就職祝いに買わせて頂いた「中古クラウン」をバイト代すべてつっこんで、ガッチガチのシャコタン仕様(今の時代、ほとんども見かけません)に命をかけているようです

(もう一台・古いクラウンをどこからかひっぱってきて、自らグラインダーで屋根を切り、成人式に嬉しそうに出かけていった姿は、何とも微笑ましい風景でした)(違法です・良い子はマネをしないように!)(わが子の間違いないようです)

 

実は長男も、ボロボロのハチロク(旧車)乗りで、ごう音を響かせます(プータローにもかかわらず、なぜかバンもあります)(うちの庭は、廃車置き場か!状態です)

当然、ハノ字のタイヤをはいたクラウンは、違法すれすれマフラー(たぶん)で爆音を奏(かな)でます

 

冒頭でもふれた田舎町(田んぼの中の一軒家)

昼はハチロクが、夜中は下腹をこすりながらクラウンが、遥か彼方からでもわかる音を響かせながら帰還します

 

遠くでマフラー音を聞きながら

「汽笛」は聞こえなくなりましたが、「マフラー音」を聞きながら、夜更けに目覚める今日この頃です

 

とんでもないことも、たくさんしでかす二人です(ちょっと前には、次男ちゃんは友達と仲良くため池に車で飛び込みました)(震えて立っていた姿を見て、嫁と娘も大笑いしていました)

 

 

さがしてみたい 遠くで汽笛を聞きながら(遠くでマフラー音を聞きながら)

何もいいことがなかった (なんてもう言いません) この街で

 

この家族で・・・

この先もずっと・・・・

生きていきたい・・・・・

 

 

僕にまかさてください クラフト 昭和50年 さだまさし:作詞・作曲

 

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