昭和39年にデビューして以来、20年間の歳月と56曲ものレコードを発売していました
名だたる作詞・作曲者たちが彼女に作品を提供したこの歴史
それぞれの思いは同じだったのかもしれません
「大月みやこ」さんへの期待は確信へと変わり、彼女の人柄も合わされ、暖かな愛を感じずにはいられません
『女の港』は何人もの方々の悲願ともいえる、待望のヒット曲なのでした
女の港 昭和58年(1983年)
作詞:星野哲郎 作曲:船村徹 編曲:丸山雅仁
口紅が 濃すぎたかしら 着物にすれば よかったかしら
この女性は、「大月みやこ」さんのように着物の似合う方なのでしょうが、自分が目立ってしまうことを避(さ)けたのかもしれません
それは相手への気遣いであり、何度も思い悩んだ末のことなのでしょう(健気です、けなげすぎます)
二ヶ月(ふたつき)前に 函館で はぐれた人を 長崎へ
「はぐれた人」は「海の男」なのでしょう、いろんな港に立ち寄ります(振り回されつつも、ささやかな幸せをかんじる彼女でした)
追えば一夜が 〇ぬほど長い 私は 港の 通(か)よい妻
徐々にアレンジが盛り上がり、それと共に「大月みやこ」さんの声にも熱が入ります
一番の最後の歌詞では、最も大事なキーワードを登場させ、歌い手は彼女になり代わり万感(ばんかん)の想いを込めるのでした
そして、淡々と二番は始まります
信じても ひとりになると ぷつんと切れる ふたりの絆(きずな)
先ほどの「はぐれた人」と表現したことに対して、この歌詞を呼応(こおう)さしているのかもしてません
とても不安な気持ちを切々と訴えるのです
いつまで たっても 恋女
二番の終りは、このように締めます
たずねる船は 青森にゃ 寄らずに 佐渡へ 行くという
港、港を訪ね歩き、寄港予定が変更されることもたびたびだったのでしょう
つらい知らせは 馴(な)れっこだから
夜汽車で マフラー 編(あ)むのです
「馴れっこ」の表現にキュンとしてしまいます
今の人は、手編みの「セーター」「マフラー」を編(あ)んだり、プレゼントされたりの経験は、あまりないかもしれません(受け取る側も、「オモスギル」とか「コワイ」とか言ったりするようですが…)
私など重いの結構、大歓迎です(怖いと思えるほどの愛情を誰か私に…)
函館→長崎 横浜→塩釜 青森→佐渡
港町への憧れみたいなものも、呼び起こされる素敵な内容になっています
大月みやこ
正直、あまり歌がうまい印象がありませんでした
今回色々聞き直してみて、大変な間違いだったことを思い知らされます
まずは、この曲の前半の優しく歌うくだりです
声の切り替え時の抜けの心地よさは、うっとりとするばかりです
彼女独特の唯一無二の世界が、メインビブラート前に一瞬現れるのです
サビに入っても声量でねじ伏せることなく、言葉ひとつひとつに魂が宿ります
オリジナル音源においての微妙なタメは、驚きであり、まさに芸術の域に達しているのでした
日本の心を唄う「大月みやこ」
なぜこれほどまでに、たくさんの曲を発売し続けることが出来たのか、不思議で仕方ありませんでした
今は、歌い続ててこれられたことに何の疑問も感じません
彼女は、選ばれし歌の伝道者だったのです
まわりの誰もがみんな、必ず認められるだろうという信念があったからこそ、ヒットへの想いを託し続けることが出来たのでしょう
「大月みやこ」さんは、今でも年に数曲づつ発売されています
その数は130曲(2020年4月・予定も含む)です
『女の港』(57曲目)は、ほんの序盤に立ち寄った港にしか過ぎなかったのでしょう。
P.S.
”口紅が濃すぎたかしら・・・”
いつの世も、女性にとって「紅をさす」ときのおもいは、変わらないのかもしれません
べに 【紅】 《 口紅・ほお紅》 「紅をさす」「紅を引いた唇」
くれない【紅】 《「くれ(呉)のあい(藍)」の音変化》 goo国語辞典より
(「呉」とは中国を指す)
口紅
もともと中国から輸入された「紅花(ベニバナ)」の色素から作られた「口紅」
口紅の訳語としてしばしば使われる「ルージュ(rouge)」とは、フランス語で赤という意味らしいです(英語では「リップスティック(lipstick)) (ウィキペディアより)
《『ルージュの伝言』『リップスティック / 桜田淳子』は昭和の名曲です》
くれないの花「ベニバナ」
見て癒(いや)され、食してヘルシー、生薬として血行促進作用もあるようです(今でも山形県など一部で栽培されており、思っていた以上にきれいな花でした)
「さだまさし」が作られた名曲『秋桜』(コスモス)も、出だしは淡紅(うすべに)からです
やはり口紅も、「薄く淡いほうが・・・」などと言おうものなら…
愛しい家族たちから、「偏見に満ちた古い考えのヤツ」だと、いつものように猛攻撃にあいます
いずれにしても、口紅やマニキュアの色で、女性の内面までもイメージしてしまう私は、確かにどうしようもない男であるのです。
了
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仲宗根美樹 『川は流れる』 「ありま ひょうえの こうようかくへ♪」も名曲です
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