まわり道 昭和57年(1977年)
現年寄・尾車親方(元・琴風)が大関昇進後の勢い乗り発売
作詞:なかにし礼 作曲:三木たかし
当時は、元大相撲力士 増位山太志郎(三保ヶ親方)が先行してヒット曲を連発していましたが、『まわり道』もなかなかの名曲なのです。
苦難の相撲人生の象徴なのかも
苦労して大関候補となるも、ケガにより幕下にまで落ち、十両・幕内・関脇と努力してやっと訪れた大関への期待。
そんな折の左膝靱帯断裂・半月板損傷・左腰部挫傷の大ケガ
誰もが「今度こそ駄目だろう」と思われたほどの重症
それにもめげず見事に大復活され、大関まで昇り詰めました。
まわり道を したけれど 夢が叶えば いいさ いいさ
大変な『まわり道』のあとの栄光、まさに実感がこもらないはずがありません。
歌い方に人の好さがにじみ出ており、歌詞の内容にも癒(いや)されます
自分の苦労を一切語らず、相手への思いやりに満ちあふれています。
”苦労の分だけは お前もなれよ 幸せに・・・
相手の女性にそっと、そして優しく語り掛けます。
尾車親方、あなたも必ず幸せになってください。
曲のアレンジは、いたってシンプルに思われます。
イントロ及び曲中のクラリネット(?)のような管楽器 (オーボエかも)
心地よく、それでいて少しの哀愁を帯びています。
間奏のエレキギター
そしてリズムを刻むギター これがたまりません!
どの楽器も決して自己主張致しません。
温かく包み込むような雰囲気は、彼そのもののイメージとダブるのです
遅れてやって来た 二人の春に 乾杯を あ・・・・
実直そのもののような「琴風関」は、白いハンカチでマイクを握りしめ、汗も拭きふき歌われていました(ユーチューブ動画)
丁寧な歌い方とあの笑顔に、癒(いや)されます。
P.S.
大相撲にも音楽に対しても、それほどの知識があるわけでもなく、つれづれと書いてきましたが、自分に足りないものが少し見えてきたかなと思います。
人を押しのけて、前へ前へと出るのではなく「謙虚に生きる」ことこそ大事なのだと・・・
「ウキペディア」で彼のことが詳しく紹介されていました
この曲を聴きてみて、そして彼の生き方を知ったとき、あまりにも教えられることが多く、この出会いにこそ感謝いたします。
「急がば回れ」 語源の場所は琵琶湖
誰しも『まわり道』などしたくはありません。
しかし「急がば回れ」とことわざにもあります。
大きな琵琶湖も、中心部以外はすぐそこに対岸が見える場所もあります。
多少の悪天候でも船で行ったほうが早いかも?
誰しもそう思うかもしれません。
でも転覆したのでは元も子ないのです。
武士(もののふ)の 矢橋の舟は 早くとも 急がば回れ 瀬田の長橋
当時の舟では、荒波で転覆することもあったことでしょう
先人は和歌で諭(さと)してくれます。
現代においては、船など沈むはずもなく、橋も出来ています。
でもたまには、昔の自分を思い出しながら、湖岸をのんびりと歩いてみてはいかがでしょうか
そんな『まわり道』なら悪くはないのでは・・・
了
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