斉藤由貴 『卒業』ではなく『悲しみよこんにちは』でもなく

【そもそもの始まりこのテレビドラマ】

皆様は、「男女7人夏物語」をご存じでしょうか

「明石家さんま」さんと「大竹しのぶ」さんを引き合わせ、後に結婚に至った、トレンディドラマの元祖とも言われている、とウィキペディア様もおっしゃっておられます

 

定食屋でのお二人の掛け合いは絶妙です

相席でのお互いの陣地取りの場面はドラマ史に残ると考えています

「これは空中だから」と勝ち誇った大竹さんの笑顔と、「さんま」さんの唖然とした表情は永遠に忘れられません

 

【名曲ぞろいのBGM】

そしてもう一つの組み合わせ、「千明」(池上季実子)と「貞ちゃん」(片岡鶴太郎)

憧れの千明さんに誘われ、いじけの貞ちゃんは舞い上がります(第5話)

この場面で流れてくるのがこの曲でした

 

セリフに邪魔?され聞き取りにくいのですが、どうも今までた聞いて記憶はないようでした

でもとてもいい曲、妙に惹かれまたのです

二人のシリアスな会話を失礼ながらフル無視して、再度この曲に集中しました

この頼りない、高音部分の声の特徴に、なんとなく聞き覚えがあります

 

「斉藤由貴」?

80年代も後半人になると、歌謡界に急に疎(うと)くなる私です

確か彼女の代表曲に『卒業』という歌があったような…

スケバン刑事だったような…

まったくもって、頼りになりません

 

ダメもとで、「ウィキペディア」先生を、再度お訪ねするしかありません

まず最初に聞いたのは『悲しみよこんにちは』でした

聞いた感じ、どうも違うっぽいようです

 

こうなればウィキ先生のご紹介曲を順番に聞いてみるしかありません

そして、ついに4曲目のトライにてやっと出会えたのです

 

その時の感動は嬉しいやら、なんだか意味もなく誇らしいやら…

 

「桃子」(大竹しのぶ)が、自分の本当の気持ちに気づいた時のセリフの場面

珍しく真剣な表情で、彼を見つめます

”あなたに何がわかるのよ”

この言葉を何度も繰り返した、あの感動的なシーンと同様、今でも忘れられない出来事なのでした

 

いろんな役者さんの見事な表情を思い出しながらのこの曲、何度聞いても昭和の名曲だったのでした

 

土曜日のタマネギ 1986年 6枚目シングル曲

作詞:谷山浩子/作曲:亀井登志夫/編曲:武部聡志

(ウィキペディアからコピーして貼り付けました)

 

そして今気づきました

作詞者、「谷山浩子」さんだったことを

私にとって彼女は作曲家のイメージでしたが、こんな素晴らしい詩を書かれていたなんて・・・

まぁ、正直言えばほとんど知らない人でした

 

ゆらゆらスープの 海を

小舟のように 漂う

主人公の彼女は、彼のために心を込めて慣れない手つきで一生懸命スープを作っています

しかし、突然思いがけない電話がその彼から…

スープを見下ろすところから、この物語は始まるのでした

 

今の切なく悲しい気持ちを、現実に見つめている場面を通して紡がれていくのです

アカペラでのアレンジは幻想的で、しんと静まり返っているみたいに緩やかに流れます

 

そして突然入る一瞬の静寂

アレンジの妙といえます

 

この構成は、作品の柱となっています

彼女のショックの大きさの表れかもしれません

すべての時間が止まったかのように…

 

先ほども触れたように、当初は歌詞の内容も一切わからず、曲の流れに惹きつけられました

心の揺れと曲調がぴったりと重なり、この後の歌詞の行き先にワクワクしてしまいます

 

突然の電話のせいで、作りかけのポトフは煮え立ち続けます

踊りつかれたでしょう

ため息をついた ポトフ

衝撃的な展開にもかかわらず、ポトフをいたわり、優しい気遣いさえできるのです

 

2番になりやっと主役の登場です

わき役には「ニンジン」と「ポテト」を従えます

おなべの底に タマネギ

ひとりで しがみついてる

いよいよ待ちに待った「タマネギ」

でもなんだか扱いが・・・

 

いつの世も主役には悲劇はつきものです

二枚目半ぐらいがちょうどいいのかもしれません

それでも捨てられかけようと、邪険にされようと主役は決してへこたれません

 

突然の別れ話に一旦は呆然としてしまう彼女

でも、急に気持ちは切り替えるなんてできません

全力で捧げた真剣な恋

”しがみついてるタマネギ”に自分の姿を映します

 

たぶん これがわたしね

このセリフを、あのか細い声で「斉藤由貴」さんが言ったと想像しただけで、おじさんは泣けてきました

あまりの素晴らしい描写と曲調に、私の脳内は錯綜しごちゃ混ぜ状態です

 

ちょっとヤバイ線を超えそうなので、2番の初めの歌詞の戻ります

 

胸の残り火ごと

全部捨てたと 思ったのに

 

まぁ、控えめに言ってこの作詞者は天才でしょう

「谷山浩子」さんの作品をもっともっと知りたくなります

 

皆さんもぜひ一度、このポトフの中の「タマネギ」をのぞきに来てみてください

そして、もし夕食に生姜焼きが出たら、なぜか玉ねぎをナデナデしているに違いありません

 

悲劇の主人公なのにとても愛(いと)おしく、、心が豊かになった気分にさせてくれる、そんな癒(いや)しの作品なのでした。

 

P.S. 「男女7人夏物語」

『土曜日のタマネギ』をBGMとして流しているこのドラマを、もう一度見てしまいました

この歌の「おなべの底のタマネギ」と、なぜか「片岡鶴太郎」さん演じる「貞ちゃん」が重なってしまいます

 

どうして おまえとわたしだけ

こんな目に あうのかしら

 

「貞ちゃん」を自分自身に重ねていた私は、この歌詞が妙に悲しく心に響くのでした

 

「想い出づくり」(ザンフィル) 「北の国から」(さだまさし) 歌詞?が最高なのです

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