『圭子の夢は夜ひらく』藤圭子 哀愁の歌謡曲 昭和のCD全10巻 1-7

1970年 歌謡曲との出会い

作詞:石坂まさを 作曲:曾根幸明(採譜・補作) 編曲:原田良一

 

昭和歌謡史において、私の記憶はぎり1970年から始まります

藤圭子さんはこの年初めて紅白に出場されていました

 

『圭子の夢は夜ひらく』は特に印象的というか、異性への目覚めというのか、どうもはっきりしないけれど、当時の映像を見るたびに胸がギュッと…(決して不整脈のせいではありません)

断っておきますが、彼女の美しさだけに惹きつけられたのでは決してなく、この詩の世界観に圧倒されてもいたのでした

今思えば ですが・・・

 

どう咲きゃいいのさ この私

幼いころから苦労つづきの生活、陰のある美しさ、魅力あるハスキーボイス

あまりにもハマり過ぎたこの作品が、その後の彼女の人生に大きく影響します

いい意味でも、そして悪い意味でも・・・

 

ちなみに この時の紅白で記憶に残る歌がもう一つあります

「由紀さおり」『手紙』

二人で育てた 小鳥をにがし  二人で書いた・・・

小3男子が、このような大人の別れ&ポエムチックな歌になぜに惹かれたのか

今もって不思議です

 

ちなみに 歌詞を調べたくて「手紙」で検索すると ”拝啓 この手紙読んでいる”…」?

 

歌の前にこんなセリフあったっけ??

『手紙』といえば「由紀さおり」一択だった私は、「アンジェラ・アキ」の偉大な存在をすっかり忘れていました

 

異次元のカバー力に本来の姿が・・・

 

藤圭子さんのカバーアルバムを聴くのが好きです

普通にどれも完全なるコピーを難なくこなしているばかりでなく、軽く超えていっちゃっています

 

中条きよしさんなんかは、昭和の名曲『うそ』を「あまりにもうまく歌いすぎているので勘弁してほしい」的なコメントをのちに吐露しています

 

カバー曲の中でも『メモリーグラス』は特に印象的で、リズムに乗ってさらりと歌っています

暗い影など微塵も感じることなく、生き生きと歌う姿さえ思い浮かべる事ができます

 

また『夜のヒットスタジオ』オープニング時の映像では、『ねぇ!気がついてよ』を歌われています

ノリノリの笑顔で、「ただただ歌うことが好きでたまらない」って感じです

本来の彼女の姿を見せた瞬間だったのかもしれません

 

ちなみに 次に引き継いだ淳子ちゃんが『長崎は今日も雨だった』の出だしの音程を失敗しています(今見ると、そんなところも含めてとてもかわいいです)

 

色がない

「夜ヒット」の話はまだ続きます

 

ちなみに このあと藤圭子さんは私の大好きな唄『面影平野』を、射るようなまなざしで、時として目を伏せながら哀しげに熱唱します

 

女一人の住まいにしては 私の部屋には色がない

この旋律といいこの歌詞といい「宇崎夫妻」は藤圭子さん同様、間違いなく異世界の人だと私は思っています

 

藤圭子のイメージを確定

 

夜咲くネオンは 嘘の花  夜飛ぶ蝶々も 嘘の花

夜飛ぶ蝶々はイメージ戦略の象徴であり、またそこに誰もが一緒に寄り添いながら心酔していったのかもしれません

 

過去はどんなに 暗くても  夢は夜ひらく

藤圭子さんの夢はいったい、いつ開いたのでしょう

 

もし彼女が…周りの方々が、たとえばニューミュージックの色を携えたり、ロック調に向かって走っていたなら・・・

彼女の部屋には、もっともっといろんなのがちりばめられていたに違いありません

 

癒しの先駆者 園まり

 

この作品は1966年にヒットしていました

圭子の夢は夜ひらく』カバー曲だったことを知ったのはいつ頃だっただろうか

 

当初からオシャレな題名だと思っていたのですが、そんな裏事情があったとは…

「園まり」さんの大ヒットからわずか4年、歌詞を総とっかえし、あえて再びこの歌を藤圭子さんに授けます

英断と言えるでしょう

 

「園まり」さんの『夢は夜ひらく』を聴いてみると、哀しい歌なのになぜか心が落ち着いていきます

「癒(いや)される」という言葉の語源は、彼女がこの歌を歌ったとき、1966年に出来たのではなかと、勝手に推理しています

 

本名「薗部鞠子」昭和らしいいい名前だと思います

誰が決めたかしれませんが、芸名は「園まり」

 

藤圭子さんをイメージした「石坂まさを」さんといい、こちらの名付け親といい激動の昭和を経験された先人の「才覚」に驚くばかりなの私なのでした

 

ちなみに これが最後です

【才覚とは】

すばやく頭を働かせて物事に対応する能力。知恵の働き。機転。

 

私がイメージしていた通りのことを的確に表現してくださっていました

辞書を作られた方々の才覚にも頭が下がるばかりです

 

宇崎竜童 阿木燿子のセリフと思いを奏でる

 

 

 

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