愛を唄う吟遊詩人(ぎんゆうしじん)「大塚博堂」ここにあり
めぐり逢い紡いで 昭和53年(1978年)
作詞:るい (小坂洋二)
日本語って素晴らしい
胸のボタン ひとつはずして あなた好みに 変わっていく
素敵な低音を響かせます
決して押しつけがましくはないけれど、一途な思い・情念を素敵な言葉で表現されています
はじめて つけたマニキュアが もろい かける 割れる はがれる
サビへ向けての抑えきれない気持ちが曲によく表れていると思います
同じような四つの表現に作詞者のセンスが光ります
日本語の奥行き感が、遺憾なく発揮されているのです
めぐり逢い紡(つむ)いで 愛の色に 織りあげた
「めぐり逢い、そして紡ぐ」?
題を聞いたときからの疑問が氷解します
彼女は、赤を基調とした、炎の糸を織り上げていたのです
あなたへの 燃える火を 断ちきれない 消せはしない
燃え盛った炎を消し止めることは、もう誰にもできません
題名に象徴されているように(特に「つむいで」)、全体を通して日本語っていいなぁ~と改めて教えてくれる作品だと思います。
特に私は
束ね髪をふわり広げて、かわいい女つくろって
二番の歌詞のこの所で、愛しさのあまり抱きしめたくなります
(素敵なロングヘアーから、上品なリンスの香りが漂ってくるようです)(妄想の激しいちょっと変な奴です)
作曲:大塚博堂
昭和47年歌手デビューしましたが不発でした
再度、名前を変えて昭和51年『ダスティン・ホフマンになれなかったよ』で再デビュー
一気に花開き、その実力が認められていきます
『めぐり逢い紡いで』はオリジナルとアルバムバージョンがあります
どちらも素晴らしいのですが、哀愁を含んだ女性コーラスが入るシングルバージョンがお気に入りです
「布施明」さんとの競作で、こちらのほうがなじみ深いのですが、作曲者ご本人に敬意を表させていただきました(布施さんファンの方は、よろしければ「落葉が雪に」編の雑文を)
あなたも吟遊詩人(街から街へと渡り歩き、愛の歌を奏でる)になって大塚博堂さんの世界へ訪れてみませんか。
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{蛇足}
日本語の素晴らしさといえばやはり私は「枕草子」。
夏は夜。月のころはさらなり… この「さらなり」の意味ですが、更にいいとは微妙に違い、もちろんだ・言うまでもない。
とのことだそうです。古文の授業は嫌いでしたが、古語っていい感じです。
秋は夕暮れ。懐かしい歌に囲まれて眠るころは さらなり…
了
泉谷しげる 『春夏秋冬』 春でも夏でも秋でも冬でも、最高のメッセンジャーです
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