永井龍雲 / 竹久夢二 それぞれの詩集

『道標(しるべ)ない旅』 1979年

作詞・作曲:永井龍雲/編曲:大村雅朗

 

「永井龍雲」さんの唯一知っている作品です

グリコのCMで使われていました

彼の名前を知り、この作品が彼によるものだったのを知ったのはいつ頃だったでしょうか

 

誰もが多くの夢を持って、こんな青春ソングを少しの照れもなく歌っていたあの頃

そんな時代とともに育った、雄大かつ希望にあふれた名曲だと思います

 

閉ざされた 部屋の窓を

開けてごらんよ

おしつけるでもなく、言い聞かせるでもなく、優しく語りかけてくれます

ふさいだままの気持ちに、そっと柔らかな日差しが差し込んでくるようです

 

大空に群なす鳥たちよ 君の声を見失うなよ

一切の陰りを感じることのない、そんな雄大でのびやかな旋律です

限りなく澄んだ青空に、真っ白な気持ちで羽ばたきたくなるのです

 

君が歩けば そこに必ず 道はできる

 

何の根拠もないのですが、不思議に勇気がわいてきます

たとえ、群れにさえ入ることのできない私でさえも・・・

 

CM「グリコ・アーモンドチョコレート」

 

当時のCM を探しましたが見つかりません

なので、「聖子ちゃん&トシちゃん」「キョンキョン&渡辺徹さん」バージョンを懐かしく見させていただきました

CM挿入歌『約束』はやはり名曲でした(永遠に不滅です)

 

そして、われらが時代の「百恵・友和」スーパーコンビ

CMの画質は悪いですが、今見ても自然とほほが緩みます

「三浦友和」さんは、体全体を「さわやかさ」でまとわれており、“カリッ”と素敵な音で「グリコ・アーモンドチョコ/セシルチョコ」をかじります

「山口百恵」さん

当時の動画を拝見するだけでおそれおおく、居住まいを正したくなります

 

『道標ない旅』がヒットの兆(きざ)しを見せかけたころ、百恵さんは、自身のコンサートで、三浦友和さんとの交際していることを発表しました

当然グリコのCMは、以前に放映されていたお二人のカット画像にすべて入れ替わります

 

それまでCMで流れていた『道標ない旅』は、わずかワンクールで終了しました

 

宣伝部の丸山寿敏は、「とても残念でした。でも、グリコさんをせめる筋合いではないし、怒りをどこにぶつけたらいいか、わからなくてたまりませんでした」と嘆いたという (ウィキペディアより)

 

それでも「永井龍雲」さんは、この悲しさを作品にしみ込ませるかのように、名曲「詩集」を誕生させてくださいました

 

かくれた名曲 『詩集』

 

「永井龍雲」さんのお名前さえおぼつかない私ですが、この曲を初めて聞いた時からファンとなります

アルバムの一曲だと思いますが、YouTubeミュージックでは探すことができませんでした

わかっているのは「隠れた名曲」という事実のみです

 

作詞・作曲:永井龍雲(たぶん)

 

ピアノの音色と、サビの部分の歌詞が私は特に好きです

【まずは1番のサビ】

手紙に 香水 染みさせて

そんな裏技が!

さすが昭和の女性、心づかいが素敵すぎます

 

未練ごころ たらたら 綴(つづ)って 破り捨てました

ラインで送るのとは、手間も時間も格段に違います

“たらたら”との表現、2番への伏線となります

 

【2番のサビ】

怨み言をつらつら 並べて

一人 泣きました

今度は”つらつら”です

二つの言葉の使い方をしっかりと把握されたこの対比に、頭が下がります

 

【3番のサビ】

夢二の 詩集を 送りました

ここで初めて、題名の「詩集」という言葉が登場します

「竹久夢二」さんには美人画のイメージしかありませんでした

 

勉強になります

また、日本の名曲『宵待ち草』とも出会えました(詳しくは後で触れます)

 

(しおり)のある 頁(ページ)が 私の

今の気持ちです

こんな風に語られると、感動のあまりもう言葉も見つかりません

 

なので、どうでもいい私の思い出を少しだけ

ひそかに思いを寄せた女性に、私の好きな曲ばかりを選曲して渡しました

 

昭和です

当然、高級なハイポジTDKカセットテープです

マクセルでは気持が十分伝わらない気がします(偏見です)

 

渾身のフォークソングで編集し、最後に押しの一曲を入れました

「かぐや姫」の『妹』

これまた昭和の名曲です

 

今思い返しても、このチョイスはありません(どっちみち、脈があったとは考えられませんが…)

 

宵待草(よいまちぐさ) 作詞:竹久夢二

作曲:多忠亮(おおのただすけ)

 

待てど暮らせど 来ぬ人を

「詩集」の主人公は、栞にこの詩を選んだののでしょうか

 

宵待草の やるせなさ

当てのない人をじっと待ち続ける、このやるせなさ

詩人「竹久夢二」の力量の高さが、この一文でもわかる気がします

 

哀愁を帯びた素晴らしい旋律が、シンプルな言葉の一つ一つにしみ込んでいくようです

 

ちなみに、「宵待草」とは、「マツヨイグサ属」の一種を指すものと考えられているようですが、夢二が音感の美しさにこだわって変更されたという説が有力であるらしいです

偉人の感性に頭が下がります

いつの世にも男女の違いはあれども、恋焦がれる想いは変わりません

手紙から電話へ、電話からスマホへと…

 

話はもどり、「永井龍雲」さんの『詩集』にこんな詩があります

 

受話器の回線(コード)を たどれば

あなたに つながっている

 

つながりたいけど、つながれない

伝えたいけど、伝えられない

 

しかし、令和6年の今

雲に隠れていた月も、いつかは必ず私たちの前に現れてくれます

いくつになっても希望をもって、人を愛し続けたいものです

 

 

「宵待草」原詩

遣る瀬ない釣り鐘草の夕の歌が あれあれ風に吹かれて来る
待てど暮らせど来ぬ人を 宵待草の心もとなき
想ふまいとは思へども 我としもなきため涙 今宵は月も出ぬさうな

 

岸洋子 『希望』 夜明けのうたでもあったのか

 

 

 

 

 

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