『水中花』 昭和51年(1976年)
出会いのきっかけの歌
作詞:阿久悠 作曲:井上忠夫
哀愁漂う隠れた名曲とはまさにこの事かと。
詩に関しては「阿久悠」様がここにも登場され、”流石ですね”としか言いようがありません。
しかし、この詩にはこの曲調しか考えられないと思われるほどのピッタリ感。
この流れるようなサウンドは、とても悲しい場面を見事に表現されています。
でも何故か私には心地良く、癒(いや)されていくようにおもわれるのです。
古いレコードをかけて酒を飲む
お気に入りの酒と唄を、好きな時間にゆっくりと・・・
針の音を聴きながら・・・
この贅沢(ぜいたく)こそが理想の私にとっては、ぴったりの曲なのです。
この唄こそが、素晴らしい出会いの序曲
井上忠夫とはどんな方なのか?
そんなちょっとした興味から調べてみると、とんでもない事実が次から次へと出てくるのです。
私は年代的に「フィンガー5」の妙子ちゃん(末っ子の女の子)と同世代(1962年生まれ)なのですが、
な・な・なんと、彼らの数々のヒット作品を井上忠夫さんが作曲しているではありませんか!
何たる偶然、何たる幸せ。
無知で愚かなる私は作曲者など見向きもせず、大好きな妙ちゃんしか目に入っていませんでした。
もうとことん調べるしかありません。
「井上忠夫」は旧芸名で、名曲『ブルー・シャトウ』で有名な
「ジャッキー吉川とブルーコメッツ」のリードボーカル、後の「井上大輔」さんだったのです。
そして数々の名曲たちがこれでもか・これでもかと生まれていくのです。
次回は「フィンガー5」の『個人授業』を取り上げるしか選択肢はありません!
”っと喜び勇んで調べると、「都倉俊一」作曲でした。(残念)
まぁ彼も素晴らしい作曲家であることに異論はありません。”
それはさておき、代表曲『学園天国』『恋のダイヤル6700』を手掛けられており、提供作曲家としての出世作となりました。
そして自ら唄う「水中花」の発表をはさみ、「シャネルズ」(ラッツ&スター)の登場です。
彼らにはほとんどの曲を提供されています。
そんな数ある提供曲の中からどうしても一曲に絞るとなると、う~ん・・
鈴木聖美『TAXI』と言わざるを得ません。
次回をお楽しみにしていてください。
P.S.
話は「水中花」にもどります。
この女性は、最後に手紙を涙ながらに書いています。
辞書を開き、知らぬ文字をさがしながら・・・
あれは遠い昔、ソノシート用の簡易プレイヤーから、堂々のステレオ(木枠のテクニクス製)がやって来たのです。
レコードの針の音を気にして、スプレーを吹きかけ丁寧にホコリをとります。
部首や画数で、読み方・意味を漢和辞典で調べていた日々。(ほぼ新品のままだったが)
でも、こんな当たり前だった当時の日常が、ひょっとすればとても貴重な時間だったのかもしれません。
そんなことも教えてくれる「水中花」なのでした。
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了
鈴木聖美(すずききよみ)『TAXI (タクシー)』 バラード界のシンデレラ 【井上大輔 ずば抜けた作曲力】②
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