このドラマのヒットにより、江ノ島電鉄は倒産の危機をまぬかれたといいます
なぜなら、ドラマに喚起された若者達が ”いざ鎌倉”へと押し寄せて来たからに他ならないのでした
「俺たちの旅」「俺たちの朝」「俺たちの祭」と三作続いた「俺たちシリーズ」
当時、中1~中3の多感な中学男子だった私です
この三シリーズを外すはずがありません
「俺たちの旅」の金沢緑さん、とてもきれいな方でしたが、大人っぽくて中1の私には少し荷が重すぎたようです
その点と言っては何ですが、”カーコ”こと「長谷直美」様
おくてながら中学2年にまで成長したこともあり、自分にはとてもしっくりとはまりました
要するに、すごくあこがれたというか、目のまわりがハートマークで埋め尽くされていたのでしょう
そんな思い出のドラマの主題歌『俺たちの朝』
今再び聞いてみました
俺たちの朝 1976年(昭和51年)
作詞:谷川俊太郎 / 作曲:小室等 / 編曲:チト河内 / 歌:松崎しげる
作曲:小室等
「小室等」さんといえば何となく「空から雨が…」なんとかかんとか・・・
創世記のフォークソングを歌う、古い感じのオジサン・・・
大変失礼ながら、そんなイメージしかありませんでした
この作品を歌っているのが「松崎しげる」さんだと知った時の驚き以上に、作曲者の名前を見て更にびっくり!
当時も今もニューサウンドなのです
懐かしくも新しい何かを感じるこの曲調に、今更ながらに魅せられています
この作品は『青空に問いかけて』という題名で「小室等」さん自身も歌っています
ギターひとつで、心を込めつつ穏やかに歌っているその姿に、本物のシンガーを見た気がいたします
いま私の中で、「小室」といえば「圭」さんではなく、「哲哉」さんでもなく「小室等」さん一択となってきています(冒頭の歌の題名は『雨が空から降れば』でした、ごめんなさい)
作詞:谷川俊太郎
私自身、文芸に関しても浅学非才、一切存じ上げませんでした
ウィキペディアで確認すると、受賞歴の欄が埋め尽くされています
ありとあらゆる分野に造詣が深く、作詞活動についてもとても幅広く「俺たちの朝」の文字は見当たりません
活躍された内容の情報量はあまりにも膨大であり、スクロールする人差し指がつりそうになるほど画面狭しと並んでいます
そんな偉大な方の作詞部分を、恐れ多いことですが一部を紹介させていただきます
まずは、始まりの部分です
ほとばしる水の 冷たさに 今日がかくれている
前作『俺たちの旅』の「小椋佳」さんに対するかのように、この「谷川俊太郎」さんの世界も凡人には理解できません
どちらも非常に難解です
読みとこうなどと考えたらいけないのです
ただただこの行間に浸り、ゆらゆらと心地よく身をゆだねればいいのです
聞きなれた街の ざわめきに 夢がかくれている
こちらは、2番のはじまり
聴いているこちらが、高尚な文学にさも勤(いそ)しんでいるような錯覚にとらわれてしまいます
この独りよがりな多幸感が私にはたまりません
答を知らぬきみに できるのはただ
明けていく青空に 問いかけること
当時、この唄の歌詞の意味を考えた記憶がありません
言葉を追うという発想がなかったのでしょう
「カーコ」ばかり見つめていたのだからそれは仕方なく、情けない限りです
”問いかけること”
年を無駄に重ねた今だからこそ、その内容について、もう一度じっくりと考えてみたいと思います
「何を今問いかけるか」
答えはすぐに見つからなくとも、どこかに何かが”かくれている”気がするのでした
松崎しげる&チト河内
チト河内とトランザム
『俺たちの勲章』『俺たちの旅』『俺たちの朝』等の劇上での音楽を担当した「トランザム」
そのリーダーとして活動する「チト河内」さんのアレンジは欠かせません
「佐藤隆」さんの『マイクラシック』のイントロをご存じでしょうか?
「高樹澪」さんの『ダンスはうまく踊れない』の中での伴奏のギターとバイオリンのコラボ
そしてこの曲の間奏部分、音楽のすばらしさを改めて実感させられるのでした
トランザムが音楽を担当したことによって、このドラマが一層輝き「カーコ」ちゃんの演技がより一層切れがまし、「秋野太作」(通称ヌケ)さんのダメっぷりが引き立つのでした
松崎しげる
レコードジャケットの彼は、一瞬だれか分からないほどに、いい男で色白でした
有り余る声量を少し抑え気味に歌う姿に、持って生まれた歌唱力の高さを感じます
「松崎こげる」のテロップを入れた焼き肉のCM、事務所と自宅両方に日焼けマシーンを設置している彼です
エンターティナーの鏡であることは、疑念の余地がありません
『グリコ アーモンドチョコレート』CMソング『愛のメモリー』も名曲ですが、彼の作品の中での「俺たちの朝」は一押しの1曲としたいのです
P.S.
それぞれのドラマ出演
前作「俺たちの旅」から続けての出演者も多く、中でも「岡田奈々」さんのビジュアルには今更ながらに驚かされます
〈そして、それ以上に〉
デビューからまだ2年の「原田美枝子」さんの視線の厳しさと「松金よねこ」さん(「オッスと海と泣き上戸」に出演)の女子大生姿は、かなり衝撃的なのでした
その「松金よねこ」さん、ドラマに映画、舞台に声優・・・
いろんなジャンルに幅広く活躍されています
綺麗なだけの女優さんとは、仕事への気合の入れ方が違うのかもしれません
「片桐はいり」さんと共に、とても好きな女優さんなのでした。(ちなみに、片桐さんをあえて取り上げたことに他意はありません)
了
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