チョー・ヨンピルさんは、演歌歌手のイメージが強い(特に日本では)ですが、ロックやバラードなど、様々なジャンルを歌いこなします
『釜山港へ帰れ』(昭和57年)の大ヒットに隠れ、次作・次次作は何とも不憫(ふびん)でなりません
そんな、生まれも育ちもいいのに、幸せを掴(つか)み切れない曲に愛を込めて!
窓の外の女 1984年
シングル(日本)2曲目 昭和59年3月
日本語詞:三佳令二 作曲:趙容弼 編曲:入江純
短い詩の中に、すべての想いを訴えかけます
アア 愛を 美しいなどと いつ 誰が云ったのですか
ピアノの鍵盤を白い指が、力強くも流れるように弾(はじ)いていきます(当然イメージです)
か細い美人のピアニストが、黒いシックなドレスで弾(ひ)いているに違いありません(もう偏見と妄想のかたまりです)
とにかく、彼のどこまでも高音へと登りつめる声と、絶妙にシンクロしていくのです
いっそ いっそ あなたの手で 眠らせてほしい
聞いていただければ分かりますが、「いっそ」の歌い方の気持ちの入れようは、ただの「眠り」ではないのでしょう
そして、作曲も手掛けておられたことに、今更ながらに驚かされます(苦労して漢字変換していて、やっと気づいたのです)
ダイナミックなこの曲調と「チョー・ヨンピル」さんの語り歌があれば、長い詩は必要なかったのです
流されて
シングル(日本)3曲目 昭和59年10月
日本語詞:阿久悠 作曲:金起杓 編曲:入江純
「チョー・ヨンピル」さんの代表曲です(私一人が思っているだけです)
『窓の外の女』は、完全なる演歌でしたが、こちらは、ロックが入っていると言えば、言い過ぎでしょうか
腕に 爪の傷あとを 胸に 愛の傷あとを
低い声がとても魅力的な、唄いだしです
今は、ユーチューブでオリジナル音源が聞けないので残念ですが、ドラムとベースの音が心に響く、素晴らしいアレンジだったと思います
流されて 流れ流れ 今はもう 逢えないけど
ただひとつ 胸の奥で 枯れない花がある
転調というのか分かりませんが、繰り返しの部分からキーが上がります
昔(日本でのデビュー当時?)、歌番組で「チョー・ヨンピル」さんは、「地声で2オクターブ出る」と司会者が言っていた気がします
この曲を聴いていると、転調?を使ってどんどん高くなる声での「繰り返し」を聴いてみたい欲求にかられます
流されて 流れ流れ 想いでも見えないけど
ただひとつ まぶた閉じて たずねる人がいる
「愛の傷あと」などと言える、激しい恋愛の経験はない私でも、「枯れない花」があります
日々の生活に流されながらも、誰でも心の中で「訪ねたい人」がいるのではないでしょうか。
P.S.
韓国の歌王
ユーチューブを見ていると、「チョー・ヨンピル」さんの動画は、それほど多くありません
そんな中、韓国人による(たぶん)オール韓国語(きっと)の動画が目にとまりました
再生回数、なんと2044万回(1993年)
他にも、なん百万回の動画がたくさんありました
韓国の「歌王」たる所以(ゆえん)です(ラ王やモナ王なんて敵ではありません)
当然日本語のコメントは一切なく、歌詞の意味も、私には全く分かりません
そこには、
「主人公が演じるパフォーマンスに、徐々に吸い込まれていきます / まるで外国の映画を字幕なしで見ているような、高揚感に包まれます」
みたいな、薄っぺらいコメントは書かれてはいないでしょう
コンサート中心の活動に切り替えられたみたいですが、基本的スタイルは、以前と少しも変わりはありません
私の中でも、変わらず「歌王」なのです
人の意見に流され続けている私は、反省しきりです。
了
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