村下孝蔵 『ゆうこ』 ギターの名手は言葉もうまくつま弾くのでした 

「村下孝蔵」さんをご存じでしょうか

私は「山下達郎」さんとうまく区別出来ていませんでした(愚かな自分を、ここに懺悔(ざんげ)いたします)

 

『ゆうこ』  昭和57年(1982年)

 

作詞・作曲:村下孝蔵

 

ピアノの音は どこか冷たく

 

 

記憶の陰に ぽつりと座り 淋しげに 白い指先 ピアノを弾く女(ひと)

 

曲調は、あくまでもテンポよく流れますが、深くは感情移入していません

 

 

「ショパンが好きよ 悲しい調べ 奏でれば 恋のできない私に似合い」

と言った女 (ゆうこ)

 

とつとつと語るからこそ、余計に悲しみの大きさを感じさせられます

密かに思いを寄せるピアニストから、どこか投げやりに、こう言われてしまったら

 

 

どんな過去が君を 変えてしまったの (こたえて) 瞳の翳(かげ)りが せつなすぎるよ

 

「ゆうこ~」「こ・た・え・て~」

心の叫びを、素晴らしいコーラスが代弁してくれるのです(このセリフ、歌詞の中にはありませんが、このコーラス部分がとてもいいんです)

 

”言い出せない愛”はどこまでも続き、次から次へと寄せる波の如く、思いは胸を強く揺さぶられます

今ならラインを使い、ストレートに告白するかもしれません

 

味気ないようですが、時代の波は変えがたく・・・ですね (ムリゲーな引っ込み思案な恋も、案外叶ったりするかも)

 

気持ちをじっと押し込め、相手をも気遣います

平然を装いながら

まるで「村下孝蔵」さんの人柄そのものかのように・・・

 

古き中にも、こんな心意気を大事にしたい

失くしたくないし、尊いことと信じたいと思うのです

 

村下孝蔵

 

私が真剣に彼の曲を聴き始めたのは、もうなくなられた後のことです

 

人生の後悔の一つ

 

後悔などほとんどしたことがない私は、はたから見ればのんきヤローです(はたから見なくても実際そうなんですが…)

 

理想的な道を歩んできたかと言えば、その逆で、どうしようもないダメ人間なのです

でも選んだのは自分自身、後悔なんて出来やしません

 

苦労して入れてもらった、大学も中退(正式には除籍・入学したことさえ抹消されている)

だから後悔と言えば、「親に迷惑をかけたこと」(育てた責任もほんの数パーセントはあるなどと屁理屈をいい、勘弁してもらっています)(嫁や子供に言うと、最低なおやじ!となじられています。おっしゃる通りなので何も言い返せません)

 

前置きが非常に長くなりましたが、もう一つ後悔、それは

「村下孝蔵」さんを知らなかったこと 知ろうとしなかったこと

 

やはり、生演奏を聴いてみたかったです

甘い声に触れて、酔いしれたかったです

素晴しいギター演奏をもっと聴いてみたかった

 

自分と同じぐらいの年となったであろう彼の、新たなそして繊細な作品を聴いてみたかったです

 

見かけはサラリーマン

 

ネクタイにスーツ、そしてギター

そんな彼がひとたび唄い出すと、その声に誰もがうっとりします

 

ギターの技術もプロ並みらしく(専門的なことはよく解らない)、皆さん絶賛されています

ビジュアル的なハンディ(あくまでも、今風ではないの意)をはねのけ、徐々に認められていきます

「初恋」が大ヒットし、世間に認められ知名度もグンと上がったが、彼に変化はありません

村下孝蔵の村下孝蔵たる所以(ゆえん)でしょうか

 

ひけらかすことなど一切なく、誰をも分け隔(へだ)てしません

それでいて、どこか凛(りん)としたところを失わない、とんでもない人格者なのです

 

『ロマンスカー』が売れない

 

「これが売れなきゃ、おかしい」「やっと納得する作品が出来た」と本人が語るほどの渾身の作品だったが 売れず・・・

「時代は追いかけるものではなく、巡りくるもの。向こうからやってくるのよ」

ウキペディアより

 

ご本人はそのようにおっしゃっています

 

ほんとにそうなんでしょうか

向こうからやって来たのでしょか

私が、たまたま知らなかっただけなのでしょうか

たくさんの怒りにも似た疑問が、ふつふつと湧き上がるのです

 

時代にそぐわなかったのか、それとも受け止める側が未発達なのか

 

『ロマンスカー』は初めて聴いた私でも、いい曲だと思います

 

当たり前のことが、当たり前に評価される

 

いつの時代も世間の評価ほど、不安定で・気まぐれで・悩ましいものはありません

 

何をもって、これが当たり前のことと判断するか

ココが難しいのかもしれません

時代を追いかけず、巡りくるのをじっと待つ「村下孝蔵」

 

この方こそ、当たり前に評価されるべき存在であり、今以上にたくさんの方々に知ってほしい人物なのです。

P.S.

 

『ゆうこ』と『踊り子』のどちらを取り上げるか、少し悩みました

 

やはり、昭和の匂いがより強く感じる素敵な名前「ゆうこ」

婚約者(演奏家)の名前をそのままに、思いを込めた題名らしいです

 

何の邪念もない、この直球感に心打たれ、こちらとなりました(踊り子もめっちゃ好きなのですが…)

 

ゆうこ と ゆうこす

 

「ゆうこ」を調べていると現れてきました

 

元アイドル「菅本裕子」さんのことらしいです(ニックネームがゆうこす

 

SNSでの活動を活発化させ、インフルエンサーとして女性人気を得る・・・

ウキペディアより

 

らしいです

 

この冬も流行しそうな、インフルエンザ予防接種とは、あまり関係がないみたいです

今はやりの時流に乗った感じでしょうか

 

「ゆうこ」と「ゆうこす」

一時違いで、まったくの正反対

 

時代うけしている最先端と、あくまでも控えめで、決して前へと出ようとしない生き方

菅本さんも、とても素晴らしい方みたいですが、やはり私は

70年代の香り漂う「ゆうこ」さんのショパンが聴いて見たかったです

 

 

追記

あるミュージックアプリで「村下孝蔵」がカバーしている「22才の別れ」を偶然聞きました

歌唱力・素晴しいギター演奏

 

とても丁寧な歌い方で、忠実に再現されていました

余りの感動ゆえ、このブログにもう一度帰ってきました

当分の間は、彼から離れられそうにない自分がいます

 

ただ「村下孝蔵」がいい。      2020/417 加筆  完

 

 

『そんな夕子に惚れました』 歌手、増位山太志郎の「そんな男のひとりごと」だったのかもしれません

踊り子 村下孝蔵 昭和58年

 

 

 

 

 

 

 

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