布施明 『落ち葉が雪に』   この歌詞と落葉は、薔薇より美しかった 

作詞:布施明  作曲:布施明 編曲:川口真

落ち葉が雪に 昭和51年(1976年)

寒くなり、人恋しくなると・・・

 

 

歌詞の中にあるような、日記を書いたり押し花をした経験のある方は、今では少なくなってきているかもしれません。

 

私には4歳上の姉がおり、押し花のまねごとをかすかにした記憶があります。

そして、何故だかふと書棚の一番下にずらりと並んだ革表紙の百科事典を思い出しました。

親の思いを踏みにじり、ほとんど厚紙のケースからも出ることもありませんでした。

 

部屋の片隅に捨てられ、忘れられた・・・愛されることもなく・・・

まさに、「弘田三枝子」の『人形の家』の世界そのものです。

 

”そんな「押し花の重し」ぐらいしか利用されなかった辞典”

ドキドキしながら入った姉の部屋

 

この歌を聴くと、遠い昔の一場面を懐かしくもほろ苦く蘇(よみがえ)らせてくれるのです。

 

もう一人の自分との出逢い

 

年を重ねていくと、いろんな自分に気づいたり、思いがけない私を見つけたりします。

また、そんな自分が嫌になり、違う私を演じることがあるかもしれません。

 

 

ひと恋しさのあまり 書き始めた日記 もうひとりの僕との 出逢いがあった

 

哀しくも素晴らしい告白をされています。

ブログを書き始めたばかりの私は、まだ誰とも出逢えていませんが、もう少しだけ頑張ってみたいと考えています。

 

布施明

 

淋しさになれた今 木の葉ずくも去って

落葉が残るページに 思い出を語る

 

この旋律、この作詞、「布施明」さんは何者なのか

歌は抜群にうまいし、男前ウイット感もあり人として完璧に生まれてきたのだろうか

 

落葉が雪に そしてうららの 小川の水に 流れるように

 

ここからの、首を振りながら歌う姿は、男の自分でさえみとれるばかりでした

 

 

どうして僕は ここにいるんだろう

 

最後のきめゼリフも完璧です

 

どうして僕は、「取るに足らない」こんなブログを書いているのだろう(たぶん私も、人恋しいのでしょう)

 

皆さんもこの曲を聴いていただき、もう一人の素敵な「あなた」に出逢ってみませんか。

 

 

昭和の名曲 東京物語 森進一 

 

P.S.

 

「落ち葉」・「雪」・「うらら」

 

これらの言葉がこの詩の中に登場するのですが、 秋・冬・春  ん??

季節感、ばらばらやん!

浅はかな私は、「なんでやねん」と思わずにはいられませんでした。

 

落ち着いて少し調べてみると、

まずは、「落ち葉」  ではなく冬の季語でした (紅葉散るなども同じく冬)

次の「雪」  もちのろん での季語

(「なごり雪」は鬼才・伊勢正三さまの造語で季語ではなかったが、日本気象協会をも動かし、近年は季語として認められたらしい。恐るべし正やん!)

 

最後の「うらら」 こちらが難しい。

春うららに代表されるように、当然 春の季語 かと思いきや

もともと「麗(うらら)か」が語源であるらしく、こちらは春の季語

意味としては、空が晴れ、のどかな様子 というような感じでしょうか。

 

ただ、「冬麗(ふゆうらら)」という言葉もあるらしく、冬に使っても全くOK。

 

結論

 

この歌に関してはいろんな言葉が使われていますが、基本的には厳しい冬のイメージで統一されていたのだろうと、勝手に理解させていただきました。

 

そして間違いなく言えることは、布施明さんは詩人としても素晴らしい人であったということです。

 

 

 

昭和の名曲 めぐり逢い紡いで 大塚博堂                             

 

 

 

 

 

 

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