作詞:千家和也 作曲:都倉俊一 編曲:馬飼野康二
ささやかな欲望 A面 昭和50年
昭和49年から、月日が経つこと一年
『禁じられた遊び』の時のようなぎこちない背伸びも和らいだ頃でしょうか
歌のほうもかなりうまくなってきています
昭和51年から遡(さかの)ること一年
自らに意志で切り開いた『横須賀ストーリー』で転換期を迎えます
この時初めて自分の意思を示し、自ら宇崎夫妻へ曲の提供を依頼します
その後は皆さんご存じのように、パワー全開、伝説の階段を登り続けます
昭和50年 少女から大人へ
そんな揺れる間(はざま)の昭和50年
いわれなき中傷にも耐え、ドラマへも道を開きつつ、前へ前へとひたすら進んでいきます
声に微妙な幼さが残り(そこがいいのですが)つつ、大人の世界(宇崎竜童&阿木燿子)への準備として、貴重な時間を過ごします
この頃の「山口百恵」さんは白い襟が似合う少女(いくら何でもその衣装はないでしょう、スタイリストさん…みたいなのも、たまにありましたが)であり、また大人びた眼差しを持ち合わせる女性なのです
青い落ち葉を舞い散らして 時間通りのバスが着いた
出足の一節です
伏し目がちに哀しい旋律(せんりつ)を奏(かな)でます
決して歌唱力抜群ではありません(それゆえ、今でも一番惹かれるのかも)
でも、この曲の歌い方が好きでたまりません
珍しく語り掛けるようなタメがあり、気持ちの入り方が違うのです(まるで恋でもしているかのように)
笑顔をあまり見せないアイドル「山口百恵」
職業として、選んだ道がたまたま歌い手だった
「スター誕生」の森昌子に憧れ、阿久悠にけなされ、大人の世界を14歳から見つめてきた彼女です
特に当初は、歌うことは生活することであり、生きるために歌い続けてきたのかもしれません
無理にほほ笑む姿は、痛々しくも健気であります
あなたに女の子の一番 大切なものをあげるわ ”ひと夏の経験より”
自ら選んだ世界とはいえ、まだ中学生の少女が、人前で歌うには、少し厳しい内容です
そんな経験が、彼女を大人っぽく見せるのか
それともそうならざるを得なかったのでしょうか
「横須賀ストーリー」を17歳で表現し、19歳であの「いい日旅立ち」の哀愁を漂わせます
引退時で、若干21歳です(大人っぽいどころの騒ぎではありません)
進化がとまらない
歌がどんどんうまくなっていきます(綺麗になるのと正比例どころか、3乗ぐらいに進化を遂げます)
デビュー当時と引退コンサートでの彼女は、全くの別人です(どうしたら、人はここまで変わることが出来るのでしょう)
でも私は、進化途中の『冬の色』『ささやかな欲望』『白い約束』
この頃の流れ、切ない歌の数々、幼さの残る声がいとおしく、とても惹きつけられます
ありがとうあなた B面 1975年
あとどのくらい 愛されますか あとどのくらい 生きられますか
この言葉が、すべてを物語っています
TBSドラマ、赤いシリーズの第二弾・傑作「赤い疑惑」
三浦友和さんと初共演です
オープニング曲『ありがとうあなた』は、ドラマとオーバーラップします
悲劇の主人公「大島幸子」は健気なヒロインそのもの
イントロが流れるだけで、今でもウルっときます
このドラマをみたら、嫌いになる要素は微塵もありません(母役・八千草薫は途中降板したが)(女優としての意地を見せたのかも)
まぁそんなことは、彼女には関係なく、演じ切ります(RH-マイナスABは悲劇の象徴です)(私は普通のAB型でも嬉しかった)
熱狂的なファンではないけれど
LPレコードは高額であり、やいそれとは買えません
「キャンディーズ」「沢田研二」「石野真子」「高田みづえ」「桂銀淑」そして「太陽にほえろ・サウンドトラック」「交響曲第五番・運命 / 未完成」(姉所有のをもらった)
今思い出せるのはこれだけです(期待通りジャンルバラバラです)
「山口百恵」さんはありません(シングルは初期作品を少々)
しかし、昭和の歌手といえば、「山口百恵」一択です
思春期は、あっちにふらふらコッチにフラフラ、揺れ動きます
しかし最後に帰るのは、昭和50年の百恵ちゃんなのです
多くのファンに惜しまれ引退した歌手は数あれど、彼女ほど多くの芸能人に慕われた人はいません(解散コンサート翌日の夜のヒットスタジオに多くの人が駆けつけています)(井上順は相変わらず失礼、近寄らないでほしい)
芸能通ではない私には理由はわかりません
しかし、幸せそうな家庭・優しそうな子供たちに、そこに彼女の魅力が隠されているように思われて仕方ありません
同じ時を過ごせた私たち世代は、何という幸せ者でしょう
「ありがとうあなた」「ありがとう山口百恵」「ありがとう友和さん」
P.S.
岸田智史
山口百恵さんの残された作品は数多くあります
そんな中でも「あまりりす」という曲が好きでした
松本隆の作詞は絶品なのは当然ですが、作曲がなんと、岡山のヒーロー「岸田智史」さん(旧名・表記)
全盛期の百恵ちゃんに曲を提供していたなんて!
調べてみると、「あまりりす」はアルバム「花ざかり」に収録(昭和52年)されています
岸田智史さんが「君の朝」でヒットしたのが昭和54年(モ~ニング モ~ニング、君の朝だよ~)
ぽっと出のような気がしていましたが、「岸田智史」(現・岸田敏志)さん、いい仕事していたんですね
あなたの才能は本物です
名曲「あまりりす」
私には、ちゃんと響いていましたよ
これからも頑張って下さい。
了
|
片平なぎさ デビュー4曲 どこか控えめな「アイドル」は、「悪女」となり「二時間ドラマの女王」となったのでした
宇崎竜童(ダウンタウンブギウギバンド)『知らず知らずのうちに』 サクセスストーリーの始まりです
コメント