青とブルー
誕生から20歳までが玄冬、20歳から40歳までが青春、40歳から60歳までが朱夏、そして60歳を過ぎると白秋に入る。人生の始まりを春ではなく冬ととらえたところに老成した中国古代思想の奥深さを感じます… 【日経新聞より】
「白秋」を過ぎた私は「青春」の頃の昭和歌謡を懐かしみます
『青いリンゴ』/野口五郎: 『青い果実』/山口百恵: 『青い珊瑚礁』/松田聖子
どなたもデビューしたての頃の作品です
「青」は初々しさの象徴と捉えられていたのかもしれません
「青」=若さ、新鮮、さわやか、信頼・・・
一般的にはこのようなイメージを抱きます
しかし、「ブルー」となると少し様子が変わります
上記のイメージ以外にも、冷たさ、寂しさ、憂鬱・・・
1978年に「渡辺真知子」さんは、初めて会社サイドから何ら制約を受けることなく、この『ブルー』をリリースしました
彼女はシンガーソングライター、ニューミュージックの流れを継いでいます
しかし私は、イメージ戦略のせいだったのか、歌謡曲側の歌手と何の疑いもなく信じていました
あの笑顔、あの躍動感、今までのニューミュージックとはどこか異彩を放っていたのでしょう
16歳初秋の私は、高校デビュー後いろんな挫折を感じながら、何度もこのレコードを聴いていました
そして教えられたのでした
「ブルー」という言葉に、こんなマイナスなニュアンスがあることを・・・
背中合わせのブルー
作詞・作曲:渡辺真知子 編曲:船山基紀
怒涛の連続ヒットからの3枚目シングル『ブルー』
『迷い道』(昭和52年11月発売):イントロと歌唱力に衝撃を受け、「渡辺真知子」の名前は強く心に刻まれます
『かもめが翔んだ日』(昭和53年4月発売):小遣い的にめったに買えなかったレコード(この頃は600円)
日本中が盛り上がっていたキャンディーズの引退、ちょこっとファン(にわかファンとは違います)としては『微笑みがえし』を買わない理由はありませんでした しかし1ヶ月で2枚目の購入は贅沢の極み、泣く泣く断念します
『ブルー』(昭和53年8月発売) :ドカン・ドカンとヒットを連続させると、さすがにひと息つくのが普通です
でも彼女の場合違いました
ドカン、ドカン、ドドッ・ドカ~~ンと私の心を突き刺したのです
もう行動あるのみ、今はなき商店街のレコード店へ直行です(店内の飾りつけ、ショーケースの中、入口のレコードの配置等よく覚えているのに店名が思い出せない)(ググっても出てくるのはイオン内の店ばかり)(ほんの4~50年前なのに…)(昭和は遠くになるばかりです)
あなたと私いつも 背中合わせのブルー
誰にもまねのできない音の動き、躍動的な盛り上がりをみせるサビは圧巻です
そして、断ち切ることのできない情熱を残しながら、ラストのこの歌詞はつらい旋律を奏でます
「あなたの背中は冷たいブルー」
「私の背中は憂鬱なブルー」
どこまでも背中合わせ、どのように混ぜ合わせようとも「希望のある明るいブルー」色にはなりません
この最後の「ブルー」での終わり方
音階的(?)にも言葉的にも「体言止め」が使われまています
主人公の絶望感、「渡辺真知子」というレジェンドの香り、名作としての確信、様々な想いが余韻として残り続けます
P.S 真知子巻き
1950年代にとても流行ったストールの巻き方のようです
イメージのわかない方は多いと思います
「ほおかぶり」?をしてあごの下で結んだ状態を、超オシャレなスカーフで仕上げたものだと思ってください
ファッション界では、来年にかけてスカーフの勢いは強まる一方らしいです
まだまだ現役でご活躍されている「渡辺真知子」様
真知子巻で小顔を強調しつつ、華やかにご登場してくださることを心から希望いたしております
了
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