昭和58年のドラマ「誰かが私を愛してる」のオープニング曲です
主演「多岐川裕美」さんをめぐり、二人の男「野口五郎」さんと「露口茂」さんが絡む大人の恋愛模様を、脚本「市川森一」さんが見事に描き上げます
小学生からのファンである「野口五郎」さんが久しぶりに脚光をあび、とても嬉しかったです
「太陽にほえろ」以来、憧れの存在「露口茂」さん(取調室とトヨタ・クラウンロイヤルが似合います 山さ~ん!)(渋い、シブすぎます)
32歳、絶頂期の美しさを誇る「多岐川裕美」さん(この年、渡哲也さんとのデュエット『めぐり逢いしのび逢い』もヒットしました)
このドラマ、見ない選択肢はありませんでした(私の中でのもう一度見たい昭和のドラマ10選に入っています)(池中玄太80キロもまたみたいです)
そんな当時の映像を彷彿とさせてくれる、『19:00の街』なのです
『19:00の街』 1983年(昭和58年
作詞:伊藤薫 作曲:筒美京平 編曲:川村栄二
『甘い生活』(昭和49年)・『私鉄沿線』(昭和50年)とヒットを飛ばして、「新御三家」として他の二人を引っ張ります(デビュ翌年より、10年連続紅白出場です)
約一年のブランクの後、ドラマ出演及び主題歌のヒットとなりました(五郎ちゃん押しの私は、喜びもひとしおでした)
霧雨降る ガラス越しに 19:00の街 低い雲 たち込めて 摩天楼包んで
80年代前半の都会のビル群を、少しけだるそうに眺めているのかもしれません
ガラス越しに映るその顔は、「多岐川裕美」さんしか浮かんできません
ああ 時間ばかり ついやした イタズラに
あなたの 心の中に 傷ひとつも 残せないで 愛と呼べる はずもない
ここの入りの前からコーラスが加わります(EVEでもなく、BUZZ ?調べてみたけどよく分かりませんでした)
気持ち悪いという意見もありましたが、私はこのコーラスがとても好きです(関係ないですが、カルピスよりコーラス(森永乳業)派です)
少し、おどろおどろしい感じもしますが、そこが妙に惹かれるのです(今では、このソウルフルなコーラスの声が聴きたくて何度も再生してしまいます)
彼の曲の多くは、演歌とポップスの狭間(はざま)を彷徨(さまよ)います
このバランスが心地よく、その代表作『針葉樹』がどうしても聴きたくなったので追記させて頂きます
針葉樹 昭和51年 1976年
作詞:麻生香太郎 作曲:筒美京平
この年、初めて社会に出た私に、様々な問いかけやたくさんのことを教えてくれた作品でした
綺麗なシンバルの響きを伴って、静かに始まります
あなたのかなしみは 雪で出来ている 僕を凍らせる 白いためいきだ
歌詞も曲調も演歌色が漂います(五木ひろしさんが歌っても、何ら違和感はないでしょう)
しかし、ポップス調のサウンド、そして「野口五郎」さんの甘い声と天使(?)のようなビブラートで、全く違った世界感が開けてくるのです
まっすぐ行くがいい 街はきょうまでの・・・
①:「そうなんだ!あれこれ悩まずまっすぐに進めばいいんだ」(あちこちとまわり道ばかりの私には、ありがたいお言葉でした)
男のいのちの かぎりを尽(つく)し 愛したつもりだ 悔いなどないさ
②:「お前は、いのちの限りに尽くした事が何かあるのか!」
そう問われている気がしました (いえ、ただひたすらボケっと過ごしてきました)
冬が来ても あなたよ 枯れるな
木枯らしに耐える 針葉樹の りりしさのように
この男性、離れていく女性に「針葉樹」のように強く、りりしく生きて行ってほしいと願います
【凛々しい(りりしい)】: きりりと引き締まっている。勇ましい。古くは、非常に賢いの意味も(コトバの意味辞典)
③:「木」といえば「林」と「森」しか知らない私に、「針葉樹」と「広葉樹」があることを教えて頂きました(針葉樹は、木枯らしに耐えるため針のように細く、葉っぱを広げません)(当時、青少年の私は、妙に感心したものです)
私の場合は、凛々しさとは程遠い体形と内面に苦悩しつつ、「針葉樹」に憧れている今日この頃なのです
最後に作詞家・伊藤薫は、こんな素敵な言葉で彼女にエールを送ります
春をめざし あなたよ かがやけ
薄れ陽を仰ぐ 針葉樹の まなざしのように
P.S.
『甘い生活』や『私鉄沿線』に比べれば印象が薄いですが、『19:00の街』は「野口五郎」さんを紐解(ひもと)く(少しオーバーかな)上で大切な曲なのです
「誰かが私を愛してる」
『19:00の街』は、ドラマ「誰かが私を愛してる」と交差して野口五郎さんと多岐川裕美さんの名シーンが思い起こされます
育ての親である「牟田悌三」(寺沢耕作・役)さんに、
「そろそろ本当の父親に会ってみては」(牟田さんは、素晴しい演技を披露しています)
と勧められた多岐川裕美(寺沢泉・役)さんは、動揺しながら家を飛び出します
あとを追いかけてきた野口五郎(松川悦史・役)さんは
「どこに逃げようっていうの?」
「どこにも逃げ場所なんてないじゃない」「向かい合って…けりつけるしかないじゃない」(スリーピースのスーツをオシャレに着こなし、迫真の演技です)(センターわけのさらさらヘアーも素敵です)
裕美さんは一点を見つめて
「まだ・・森の中だったのね・・・ わ・た・し・・・・・・」(アップになった裕美さんの切なげな表情は、誰もがうっとりと見つめるばかりです)(カラスの鳴き声と挿入歌「ガラスの森/丸山圭子」のインストゥルメンタルがバックで静かに盛り上げます)
近づけば 火のように 愛が 燃えてしまう
求めあう 指先に くずれてゆく ガラスの森 ドラマ挿入歌『ガラスの森』
シンガーソングライター「丸山圭子」さんは、裕美さんの抑えきれない想いをそっと代弁しています
それにしても「牟田悌三」さんの、養女役・裕美さんに「告げなければいけないのに、なかなか言い出せない」演技が光ります
ぶっきらぼうで少し頑固、おまけに口数も少なく不器用にしか生きられません
「外ずらだけはいい」などと言われながらも、誰よりも家族のこと一人一人を心から思いやる昭和な親父です
そんな「牟田悌三」さん、古き昭和な人たちに再び逢いたくてたまりません。
了
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