編曲家 若草恵
以前から言っていますが、編曲はとても重要だと思う派です
このことなくして、昭和の名曲は語れません
「若草恵」さんのお名前から、静かで柔らかな創作をされているイメージを勝手に持っていました
『かもめはかもめ』(研ナオコ)のイントロは何度聞いても海とカモメが頭の中から消えません
『哀愁のカサブランカ』では、原作の編曲を大きく凌駕されており、間奏に入るといつも目の前がセピア色に代わります
いずれにしても彼女のアレンジは傑作ぞろいなのです
そして、この『雨の咲く傘の花』は少し違います
歌詞も曲もいいのですが、アレンジがその前に思いっきり出てきます
適度なノリノリ感と厳選されたドラムの音が、全体を力づくで引っ張ってくれるのでした
たとえがよく分からないかもしれませんが、「若草恵」さんの編曲により、作品としての厚みが、つゆだくの肉マシマシとなるのです
雨に咲く傘の花 1985年
作詞:荒木とよひさ 作曲:三木たかし 編曲:若草恵
イントロからアクセル全開です
レトロっぽいエレキギターサウンズにシンセドラム風な音が重なります(当方、楽器の名称についての知識は当時も今もほとんどありません)
雨に咲く傘の花 ひとり 街角
歌いだしから、いきなりドラムがかぶせてきます
歌は始まっているのにお構いなく、乾いた音がはじけます
ここの響きがめっちゃカッコよく、歌詞は聞こえにくいのもあって一切入ってきません
頬を濡らす 意地悪な 雨のしずく
この歌詞前の演奏も聞き逃せません
このギターとドラムのコンビネーションも、鳥肌ものなのです
逃げないで 逃げないで (ジャカジャン)
ちなみに、(ジャカジャン)は歌詞に入っていません(念のため)
どうしたらこんなに早くスティックを打てるのでしょう
この神業はこのあと何度も訪れ、至福の喜びが味わえます
また間奏の素晴らしさを知っている私は、もう待ち遠しくてたまりません
左右から繰り出される二本のエレキギターは、きっちりと区別されています
まずは「私」、「次」はあなた、、そしてこのあとは「ご一緒に」・・・
仲むつまじく、二つのギターは寄り添いながら見事なハーモニーを奏でてくれるのでした
銀の指輪はずせば 寒い 指さき
水たまりに投げたら すべてが終わるけど
改めて、始まりの旋律と2番の歌詞をじっくり眺めてみました
とてもいいです
失恋ソングではありますが、「欧陽菲菲」さんが歌えば、なぜかとてもさわやかに感じます
ノリノリの曲調に思わず酔いしれ、不思議と色々と思い悩んでいたことが忘れられる気がしてくるのでした
*【ご注意願います】*
この作品は、低音を響かせる「JBL」や」「BOSE」などの高級なスピかーでは聞かないでください
イヤホンやパソコン(左右スピーカー付き)のややチープな音源でのご視聴をお勧めします
昭和のドラム音が見事によみがえり、古き良き時代にいざなってくれるはずです
欧陽菲菲 「ラヴ・イズ・フォーエヴァー」
1971年日本デビューにより、『雨の御堂筋』(林春生/ザ・ベンチャーズ)・『雨のエアポート』(橋本淳/筒美京平)と連続ヒットを飛ばし、その存在感は他を圧倒していました
私も大好きなこの2曲、作曲者が違うことに驚きです
デビュー曲が大ヒットしたので、二匹目狙いでの同じ製作者で…的なパターンではなかったのです
「筒美京平」さんの偉大さをここでも思い知らされました
80年代になっても勢いを止まりません
『ラヴ・イズ・オーヴァー』(作曲:伊藤薫)・『忘れていいの』(谷村新司)そして『雨に咲く傘の花』と名曲が続きます
この1982年盤『ラヴ・イズ・オーヴァー』から3作品連続で、編曲が「若草恵」さんとなるのでした
彼女のアレンジにはずれはありません
『忘れていいの』
一人で歌うバージョンをずっと探していました
「谷村新司」さんと「小川知子」さんのデュエットで有名ですが、私は断然「欧陽菲菲」シングルバージョン派であることは言うまでもありません
同じ年上の女性の歌として、『ラヴ・イズ・オーヴァー』があります
しかし『忘れていいの』の女性は、あくまでも控えめで、一歩も二歩も後ろに下がっている分、余計に愛の深さを感じてしまいます
還暦を過ぎた今でも「欧陽菲菲」さんに、理想的な年上の女性像を抱き続ける自分がいます
かなり気持ち悪い状況であることは、わかっているつもりですが・・・
今日も外は雨模様みたいです
安物のイヤホンでしんみりと昭和を感じながら、「ひとり街角」で「雨に咲く花の傘」を眺めているのでした
了
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