林業従事者の方を演じる「役所広司」さん主演の映画を見ていると、ふとこの唄が聞きたくなりました
大自然の中、颯爽(さっそう)と木に登ったり、手際よく電動のこぎりを扱います
何をさしても絵になる役者さんです
前職が役所勤めだったことに加え、「役どころが広くなる」ことを祈念して「仲代達也」さんが命名されたようです
まさに樵(きこり)からやさぐれ者、ダンスまで踊るなど、役どころの広さはお名前の通りでした
与作 1978年(昭和53年)
この唄のヒットの原因の一つにアレンジがあると、勝手に思っています
何といってもイントロの尺八
奏者は「モダン尺八」を最初に導入した中心人物「村岡実」さん
特にこの「北島三郎」バージョンは絶品なのです
音の抜けというかあのかすれ具合は、あの五エ門(ルパン三世)さんも絶賛してくれるに違いありません
そしてもう一つ、「カララララ~ン」というか「ジャララ~ン」というあの独特の音色の楽器です
「与作の楽器」でググると、すぐに「ヴィブラスラップ」が現れました
ロバや馬の下顎から作られた「キハーダ」という民族楽器の代用品らしいです
「キハーダ」は、とても貴重品なのだろうから、「ヴィブラスラップ」が広く普及されているのでしょう
なぜか形は違いますが、幼稚園の頃に使った、鈴の付いたハンドベルを思い出しました
しかしこの『与作』のアレンジャー、「池多孝春」さんは妥協(だきょう)致しません
本物の「キハーダ」で勝負します
作詞・作曲:七沢公典 編曲:池多孝春
与作は 木をきる
ヘイヘイホー ヘイヘイホー
昭和人なら誰しもご存じのこのくだりです
シンプルかつ抒情的で、他の演歌・歌謡曲とは一線を画します
若き日の「七沢公典」さんはジャズを志し渡米するも挫折し、帰国後この作品を発表します
彼は宗教家、評論家でもあるらしくて著書『時代が見える本 「与作」のヒットにみる宇宙の法則』も気になるところです(ほんの少しですが…)
「北島三郎」さんの歌唱を聴いていると、「観衆を唸らせるとは正にこのこと』と納得します
シンプルがゆえの余人にはまねのできない歌い方です
女房は はたを織る トントントン トントントン
この飛び跳ねるように歌う ”トントントン” が好きでたまりません
2番になってもAメロはギターと尺八のみで繰り返されます
通常は、2番からアレンジを加えて、ドラムやベースが入りますが1番と全く同じです
サブちゃんの声とギターの澄み切った音色がただただ響き渡ります
「ヘイヘイホー」の郷愁あふれる歌い方に対してこの「トントントン」はとても力強く、尚且つリズムカルなのです
与作 与作 お山が呼んでいる
ホーホー ホーホー
最後の ”ホーホー” は音を上げながら芸術的はこぶしを回します
『与作』という作品は ”ヘイヘイホー”と”トントントン”そして”ホーホー”に得も言われぬ味わいを感じるのです
”トントントン”は分かります
”ホーホー”も何となく情景が想像されます
”ヘイヘイホー” ??
「七沢公典」さんの詩の世界感をとらえることなど、無理な相談なのです
想像力をかけらも持たない私は・・・
”ハーリ・ハーリフレ・ハーリホ ハリハリフレッホー…”
なぜか「丸大ハンバーグ」のCMが脳裏によぎるだけでした
この唄はいろんな方たちが歌われています
「千昌夫」さん「春日八郎」さん「デーモン閣下」・・・
「閣下」も凄かったですが、一番の衝撃的な歌唱は「コロッケ」さんでした
一点を見据え、真面目に「サブちゃん」の世界を丁寧にリピートしていかれます
こっちを見る表情がおかしく、後半の怒涛の盛り上がり、最後の「ホーホー」の音の上がり方は、まさに
一発撮りのこのパフォーマンス
物まね芸人「コロッケ」さんの代表作と確信しました
「七沢公典」さん、素敵な作品をありがとうございます
(三人称視点のこの作品、とても新鮮でした)
「北島三郎」さん、最高峰の歌唱をありがとうございます
(一番の聞かせどころ、サビの部分に触れることなく、申し訳ありません)
「村岡実」さん、日本の伝統芸術をありがとうございます
(「永六輔の誰かとどこかで」 オープニングテーマ曲『遠くへ行きたい』を久しぶりに聞いてみました)
「コロッケ」さん、無表情なしぐさと唯一無二の「ホーホー」をありがとうございました
(語り足りないので、以下に続きます)
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P.S.
コロッケとサブちゃん
こっちを向いて やさしく抱いて
あなたのこと愛せるかしら
なんとなく 恐い
「キャンディーズ」の名曲『哀愁のシンフォニー』の一節です
この動画を見て、あなたのことを愛してやみません
でもやはり、こっちを見ないでください
なんとなく、こわいような・・・
いや、以上はおかしくて我慢できません
たくさんの元気をいただいた事に感謝いたします
そしてこれを許可されたサブちゃん
「コロッケちゃんは、物まねで飯食ってんだから…」
と、言われたそうです
まごうことなき、昭和歌謡の大御所なのでした。
了
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