1970年代初頭より、万博(日本万国博覧会・1970年)は開催されるは、中国から「パンダ」は来る(1972年)はで、日本はとても勢いづいていました
そんな中「歌謡曲」「アイドル」というジャンルの始まりでもあったのです
その先陣を切り、とてもさわやかに駆け抜けていったその人こそ
「南沙織」さんなのです(天地真理さん、小柳ルミ子さんと共に「新・三人娘」と言われて時期もあります)
アイドルの元祖であり、そして彼女は「アイドルの教祖」様だったのです(このたび、改めて当時の映像を拝見して、遅ればせながら「シンシア教」の信者になりました)
人恋しくて 昭和50年(1975年)
作詞:中里綴(なかさとつづる) 作曲:田山雅充(たやままさみつ) 編曲:水谷公生
デビュー以来、初めて「有馬美恵子」「筒美京平」コンビ以外の作品となります
ふと目についた 小石を蹴(け)ったり 自分の影に じゃれついてみたり
なんとなく 落ちつかない 一人ぼっち
私にとって「南沙織」さんといえば、やはりこの曲でしょうか
デビュー(昭和46年)からすでに4年が経ちますが、相変わらずの薄化粧のまま、そっと歌われます(じゃれついてもらえる「影」が、何ともうらやましいです)
恋の相手は いるにはいるけど 喧嘩別れ したばかり
ここからのリズムの乗り方、ハリのある透き通る声、独特な発音は、聞く者にとっては、まさに天にも昇る気分です
暮れそうで 暮れない 黄昏(たそがれ)どきは 暮れそうで 暮れない 黄昏どきは
心が 脆(もろ)く なるものですね
「心が脆く」どころではなく、この時点で私の心はふにゃふにゃに酔いしれます
伏し目がちの表情と哀愁を残しつつ、二つのギターだけの演奏とともに1番を終えます
アレンジも、私が最も愛する形で、魅せてくれます
2番からはオーボエが加わり、アンニュイな雰囲気を膨(ふく)らませます
夜はまだまだ 肌寒くなって なんとなく 人恋しい ひとりぼっち
この3番で初めて「人恋しい」という言葉がでます(この言葉を待っていました)
ここからの演奏は、色んなアンサンブルが加わり、コーラスも入り、盛り上がりも頂点に達します
最後のアウトロはイントロと同じく、どこまでも澄みきった音を奏で、静かに劇場の幕が降りていきます。
(ちなみに作曲家の「田山雅充」さん、どこかでお名前を聞いたような・・・)
そうでした、あの名曲『春うらら』を歌っておられた方だったのです
哀しい妖精 昭和56年(1976年)
作詞(訳詞):松本隆 作曲:ジャニス・イアン 編曲:萩田光雄
シンシア本人も大のお気に入りと言われています(「シンシア」は別名で、クリスチャンである彼女は、ファンやいろんな人から、親しみを込めて呼ばれているらしいです) ”ウィキペディア”より
いくつの 手紙出せば あなたに 逢えるかしら
いくつの 涙流せば この想い 届くでしょう
作詞家としての「松本隆」さんが世に出る一作(だれもそんなことはいっていません)
聖子ちゃんに詩を次々と提供していた黄金の80年代の「礎」(いしずえ)となる作品だと、勝手に確信しています
(「木綿のハンカチーフ」発表以来、あの大御所「阿久悠」さんも、密かに恐れていたのではないかと邪推しています)
曲がりくねった 愛の旅路で さまよう私
ああ恋人よ 手を差し伸べ 助けてくださいね
「夜のヒットスタジオ」での映像では、素敵な黒髪が風になびきます
歌への感情移入、そして歌唱においても、余裕でオリジナルを超えてくるのです
ひと言 好きと言ってね 頬そめて 待ってます 頬そめて 待ってます
彼女に一番ふさわしい言葉で、締めくくられます(何度も言いますが、この歌詞にピッタリ、今日も薄化粧です)(いや、ほとんどしていないかも)
そして最後のアップになった表情は・・・
言葉に出来ません
そこには、妖精が舞い降りてきていました
色づく街 昭和48年(1973年)
作詞:有馬美恵子 作曲・編曲:筒美京平
「南沙織」さんのデビュー曲『17才』からのほとんどをこのコンビで手掛けます
なかでも『色づく街』は傑作中の傑作ではないでしょうか
今もあなたが 好き まぶしい 想い出なの
あの日別れた 駅にたたずみ あー 青い枯葉 かんでみたの
「青い枯葉」については、議論を呼ぶところですが、この表現こそ、作詞家としての懐の深さを感じます
愛の かけら 抱きしめながら 誰も みんな 女になる気が するの
さよならは その日の しるしね
19歳になったばかりの彼女は、「筒美京平」さんの絶妙なテンポを、いとも簡単にリズムよく、歌いこなしてしまうのです
人のやさしさ 人のぬくもり あー 通り過ぎて わかるものね
「シンシア」さんの「やさしさ」・「ぬくもり」・「歌の実力」・「透明感」・・・
不肖ながら私、48年間通り過ぎてやっと分かりかけてきた気がします
そしてもう一つ、20年後に大変な驚きがあったことを知るのでした。
1991年 NHK紅白歌合戦 『色づく街』
髪の長さは若干短めになっておられましたが、当時のキーのままで歌われる姿は「神」そのものです
見た目の素晴らしさや、清楚さも驚かされますが、その歌唱力に圧倒されてしまいます
アイドルの教祖様が、約20年ぶりに降臨されていたのです
特徴あるイントロと共に、軽やかで、しかも品のあるステップにまず魅了されます
注目すべきは
「あー青い枯葉 かんでみたの」の『の』! ここです
少しだけ顔を横に振り、黒髪が揺れ、とてもカッコよく決めて下さいます
常に素敵に緊張されており、左手は胸の前にそっとおき、落ち着かせます
カッコイイやら、いとおしいやら、声量がすごいやら、衣装がとてもシックでいらっしゃるやら・・・
世の男性(女性の方も)は、この映像見ずして死んではいけません
そして、世紀の瞬間が最後に訪れます(ほんの一瞬なので、決して見逃さないでください)
【肩を可愛くすぼめます】(ウフフ、少し緊張しちゃった)(彼女は何もしゃべっていませんが、私には「神のお告げ」がごとく、そう聞えてきました)
このラストの映像で、恋に落ちた気がいたします
しかし、何度も見返していると、それはとても大それたことだと気づきました
恐れ多くも「シンシア」様に対して、「恋に落ちた」などとあまりにも無礼この上なかったのです(舞い上がってしまった私をどうか許して下さい)
願わくば、シンシア様に多大なるご加護がありますように・・・(仏教徒の私でも、思わず神に願わないではいられませんでした)。
P.S.
素晴らしい作品が多い「南沙織」さん
3曲になんて絞れません
『よろしく哀愁 / 郷ひろみカバー曲』『春の予感-I’ve been mellow-/ 尾崎亜美提供』と共にこの曲をお勧めいたします
たくさんの動画をみていると、バックダンサーに「キャンディーズ」(スクールメイツ時代?)の皆さんがちらりと映っていました
時代の移り変わりと、昭和の輝きと喪失の哀しみを感じずにはいられませんでした
キャンディーズ デビューから引退まで 第一部 昭和48年~昭和51年
明治チェルシーの唄
この隠れた名曲を「シンシア」(この呼び方に慣れてきた自分がいます)さんも歌っておられました
とても言葉を丁寧に発音され、優しく歌われています
「シモンズ」さんも「アグネス・チャン」さんも「シンシア」さんもそれぞれにいい感じで、どれも大好きです
そしてこの商品の「パッケージデザイン」もオシャレなのです
そして何より素晴らしいのが、作曲者・「小林亜星」さん
CMソングの大横綱と言えるでしょう(「あなたにも、チェルシー・・・あげたい!」と思わず言ってあげたくなりました)
了
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『あの場所から』 南沙織さんから、朝倉理恵さんから、柏原芳恵さんへ
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